うさぎのうっ滞とは、胃腸などの消化器の運動が止まってしまう状態のことを言います。食事や飼育環境が原因となることが多いため、消化器の病気で一番多いと言われています。
うさぎは症状を隠す動物のために、様子がおかしいと気がづいた頃には症状が進んでいることも。命の危険につながる可能性もあるため、しっかりと理解しておくことが必要です!
そのため日頃からうさぎの観察や、うっ滞を引き起こす原因を取り除くよう心掛けましょう。
今回は、うさぎのうっ滞とはどんな症状なのか、原因や治し方、治療方法や毛球症との違いまでご説明します。
うさぎのうっ滞について理解し、予防を心がけていきましょう。
うさぎのうっ滞とは
うさぎのうっ滞とは、胃腸などの消化器の運動が止まってしまうことを言います。
うさぎの消化器疾患で一番多いのが、このうっ滞です。うさぎにとって消化器はとても重要な臓器なので、うっ滞は命に関わる可能性もあります。
消化器の動きが悪くなると、胃の中の毛や食べ物が固まり、毛球のようになり詰まってしまいます。そのため食欲がなくなったり、排便に異常が見られたり、お腹が張ってショック状態に陥ることも。
このようにうさぎのうっ滞は、食欲や、フンの量や形、大きさに変化が見られます。
原因はさまざまなものが考えられますが、不適切な食事や運動不足、ストレスやその他の病気によるものの場合も。
このようにうさぎのうっ滞に関連する症状や併発病態をまとめて「うさぎ消化器症候群(RGIS)」とも呼びます。
なんとなくいつもより元気や食欲がなく、フンがいつもと違うことに気がついた頃には、症状が進んでいることも。様子をみているうちに急激に悪化することもあります。
うさぎの消化器の特徴
うさぎの消化器は、食べ物を食道から大腸に送るためにつねに動き続けています。食事をしていない時でも休むこと無く動いているのです。
うさぎが主食とする牧草は繊維質なので、体内にある消化酵素ではほとんど消化できません。そのため消化器内の微生物が大きな役割をもっています。盲腸や結腸の腸内細菌が繊維質を分解し、発酵させています。
このようにうさぎの消化器は、牧草などの栄養が少なく繊維が多いものを消化して、効率よく利用するための特徴を持っているのです。
自然界のうさぎは、繊維が多い食べ物を食べてつねに胃腸を動かしています。しかし飼育されているうさぎは、運動不足や不適切な食事、さまざまなストレスが原因となり、消化器の動きが低下してしまう事が多いのです。
繰り返し慢性化しやすい
うさぎのうっ滞は、不適切な食事や運動不足、ストレスなど、さまざまな原因によって起こります。
そのため治療して回復したとしても、うっ滞になった原因を突き止め改善しなければ、また同じように繰り返し、慢性化しやすいものです。
治療を行った動物病院の先生とよく相談するなどしてうっ滞になってしまった原因を突き止め、食事を見直す、運動をさせる、ストレスを取り除くなど根本的な対応が必要になります。
以前は毛球症とも呼ばれていた
うさぎのうっ滞は、以前は毛球症と呼ばれていました。うさぎのうっ滞の原因は、毛づくろいの際に毛を飲み込み、その毛が毛球状になってうっ滞を引き起こすと考えられていたからです。しかし現在は毛球症という診断名は見直されています。
なぜならうさぎは綺麗好きなので、つねに毛づくろいをしてお手入れをしています。
そのため常に胃の中にはある程度の毛は貯まっている状態なのです。胃腸が正常に動いていれば、胃の中の毛はきちんと排泄されます。しかし何らかの原因で胃腸の動きが悪くなると、毛が胃の中に留まってしまい、餌などと一緒に塊になってしまうのです。
犬や猫の場合は、毛づくろいをした時に飲み込んだ毛が胃の中で塊となり、消化器のトラブルを起こした状態を毛球症と言います。
飲み込んだ毛を吐き出せる猫とは違い、うさぎは消化器の構造上、吐き出すことができない動物なので、胃腸を動かし排泄しなければならないのです。
うさぎのうっ滞の症状
うさぎのうっ滞の症状は以下の通りです。
- 食欲不振や排便の異常
- 元気がない
- お腹を痛がったり
- お腹が張っている
食欲はいつも通りでも、フンがいつもより小さい、量が少ない、形がいびつなど、排便の異変で気づくことも。
さらにうっ滞の症状が進むと、元気がなくじっとして動かなくなったり、お腹にガスが溜まり、痛みでお腹を触られるのを嫌がることも。
このように食欲の変化や、排便の異常、いつもと違う様子にはとくに注意しましょう。
うさぎに関わらず、小動物の異変は普段と様子が違うことに気付いてあげることが最も重要です。
また、お腹にガスが溜まって張ることで鼓脹症とよばれる症状にまで悪化することもあります。鼓脹症は重症になると命に関わることもあります。
うさぎのうっ滞の原因
うさぎのうっ滞は、ストレスやその他の疾患、さまざまな要因による食欲低下、不適切な食事、運動不足などが原因で起こります。
このようなさまざまな要因で胃の動きが悪くなることにより、消化器にうっ滞が起こり、胃の中に毛球が出来てしまうのです。
うさぎのうっ滞の治療方法、治し方
うさぎのうっ滞の治療方法、治し方をご説明していきます。
うさぎのうっ滞の治療は、止まってしまった消化器の動きを正常に回復させることを目的に行なわれます。同時にうっ滞を引き起こしてしまった原因に対しての対処療法を行います。
原因に対する治療が非常に重要
うさぎのうっ滞は、原因に対する治療が非常に重要です。
消化器の動きを正常に回復させると同時に、食欲不振や排便の異常などの症状を引き起こした原因を確認します。その原因を取り除かなければ、また繰り返しうっ滞を引き起こしてしまう可能性があります。
動物病院では症状や経過を問診し、胃の触診やレントゲン検査、他の病気の可能性を除外するため、血液生化学検査を行います。
また胃の中の内容物によっても治療法が変わります。胃の中に胃液とガスが溜まっている急性胃拡張という状態では、胃の動きを促したり、強制給餌をすることは危険です。お腹のマッサージもしてはいけません。
動物病院での治療
動物病院での治療は、まずは内科療法から行います。
原因にかかわらず食欲がないときは、胃腸の運動を刺激するための、うさぎ専用の高繊維流動食などを強制給餌をします。
うっ滞が軽症であれば、3〜5日程度の治療で回復します。
胃腸の運動を促進する薬や、食欲を刺激する薬、循環を良くするために点滴などで水分を与えることも。止まっていた消化器が動き出すと痛みが出るため、鎮痛薬も与えます。
このような内科療法で改善しない場合や、毛球などで完全に閉塞している場合は、外科手術が必要な場合もあります。全身麻酔で切開手術を行い、内容物を取り除きます。うさぎなどの草食動物は、手術や入院などのストレスに弱いため、手術後の回復に時間がかかります。
根本原因を理解して自宅で自然治癒
うさぎのうっ滞は、ごく軽症の場合は自宅で自然治癒することもあります。うさぎのうっ滞の原因は、生活環境にあることも多いので、食事や飼育環境に問題がないか、見直してみましょう。
正しい食生活で繊維質をたっぷりとれているか、運動不足ではないか、ストレスになる原因はないかなど、根本原因を理解して、原因を排除します。
うさぎはストレスに弱い動物なので、強いストレスを受けると食欲がなくなったり、お腹を壊すこともあります。できるだけうさぎのストレスとなるものを排除しましょう。
食欲やフンの状態を毎日チェックすることも大切です。うさぎはしっかり餌を食べていれば、コロコロした大きなフンを毎日たくさんします。餌を食べていてもフンが小さくなったり、量が減っている場合は、動物病院に相談したほうがよいことも。
食欲がなかったり、お腹が張っている場合は進行している可能性があるのですぐに受診しましょう。
お腹のマッサージも有効
軽度のうっ滞で、うさぎに元気がある場合は、お腹を軽くマッサージするのも有効です。お腹をマッサージすることで、胃腸の動きが回復していきます。
うさぎを抱きかかえ、肋骨の下あたりを優しく刺激し、軽く揺らしましょう。
しかし体調が悪い時に突然慣れないことをされると、さらにストレスになってしまい逆効果になることも。
そのため普段からコミュニケーションの一環としてマッサージしておきましょう。元気なときのお腹の様子を知っていれば、すぐに異変に気づきます。
注意すべきことは、お腹が膨らんでいたり、ゴツゴツと固かったり、普段と違う様子ならマッサージはしてはいけません。すぐに動物病院に連れていきましょう。
うさぎは症状を隠すからなるべく早急な処置を
野生のうさぎは、具合が悪そうにしていると、天敵の格好の餌食になってしまいます。そのため本能的に、具合が悪くてもいつもどおり振る舞おうとしてしまうのです。
飼育されているうさぎも同じように、具合が悪くても限界まで隠そうとしてしまいます。そのため飼い主がうさぎのうっ滞の症状に気がつく頃には、症状がかなり進行してしまっている場合も。
うっ滞の症状に気づいたら、なるべく早く動物病院で治療を行いましょう。
うさぎのうっ滞の予防方法
うさぎのうっ滞の予防方法は、食事や飼育環境を整え、毎日健康状態をチェックすること。日頃の予防がとても大切です。
うさぎの食事や身体の構造をしっかり理解し、適切な飼育環境を維持しましょう。
牧草などの食物繊維が多い食事をたっぷり与え、1日1回はケージから出して運動をさせ、胃腸に刺激を与えましょう。
また長毛種はとくに、こまめにブラッシングをして抜け毛ケアをしましょう。換毛期はさらに注意が必要です。
特に不適切な食事には注意
特に不適切な食事には注意が必要です。
ひまわりの種やピーナッツなど、繊維質が少なく、デンプンが多いものをたくさん食べているとうっ滞が起きやすくなります。果物のような甘いおやつもうっ滞の原因になるので、あげすぎには注意しましょう。
あくまでうさぎの主食は繊維質たっぷりの牧草などを意識して与えます。
うさぎの餌を購入するときも、成分表示を確認し、繊維質がたっぷり含まれているものを選びましょう。
腸内細菌のバランスを整えるために、整腸剤や乳酸菌のサプリメントをあげるのもおすすめです。
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