可愛らしい見た目と飼いやすさが人気のうさぎですが、病気についてはあまり詳しくない人もいるかと思います。
うさぎも犬や猫と同じように、なりやすい病気はいくつか存在するのです。
そこで今回はうさぎを飼っている人に向けて、うさぎがなりやすい病気やその症状を深掘りしていきます。
うさぎがなりやすい病気とはどのような症状が現れるのか、予防はどうするのか、うさぎの飼い主さんは必見です。
うさぎは病気にかかりやすいのか?
そもそもうさぎは病気にかかりやすいのかどうか疑問ですよね。
結論から言うと、うさぎは日常のケアを怠ると病気にかかりやすいです。
というのも、うさぎはストレスに敏感なのでちょっとしたことが体調を崩すきっかけになってしまいます。
間違った食事の内容や運動不足、不衛生な環境や適切でない室温など、これらはうさぎの体調に大きく影響を与える要因です。
個体差はありますが日常でしっかりとケアをしてあげないと、なり得る可能性のある病気はたくさんあります。
1つの病気の症状がうさぎにとって心身の負担となり、別の病気を併発する場合もあります。
そのため、病気にならないように予防をしてあげることがとても大切なのです。
うさぎが病気の時によく見られる症状、サインと考えられる病気
うさぎが病気にかかってしまった時によくみられる症状がこちらです。
- 食欲がなくなる
- 便が緩くなる
- 便の量が少ない
- 元気がなく動かない
- 脱毛している部分がある
- いつもより呼吸が荒い
これらの症状は、実はどれもうさぎがなりやすい病気の症状の1つなのです。
うさぎは私たち人間と違って、本能的に痛みを隠そうとします。
ちょっとした体調の変化はうさぎからのサインですので、病気の早期発見のためにもこれらの症状を覚えておきましょう。
うさぎがなりやすい病気とその詳細
続いてはうさぎがなりやすい病気について、治療や予防法と併せてご紹介していきます。
うさぎによくみられる病気は、脱毛や赤みなどの皮膚疾患や、胃腸にトラブルが生じる消化器疾患、目の病気など様々。
ストレスや不適切な環境が原因で病気を発症してしまうこともありますが、日常で気を付けていれば予防できる病気も多いです。
うさぎの健康を守るためにも、かかりやすい病気とその予防法を知っておきましょう。
不正咬合(ふせいこうごう)
不正咬合(ふせいこうごう)とは、歯の噛み合わせが悪くなってしまっている状態です。
うさぎの歯は一生涯伸び続けますが、通常は牧草を食べる際の摩擦で上手く削れていくので正常な噛み合わせが保たれます。
しかし、牧草ではなくペレット中心の食事であったり、元からうさぎの顎の骨格に問題があるような場合は噛み合わせが悪くなり歯が伸び続けてしまうのです。
不正咬合になると、伸びすぎた歯が口の中を傷つけて痛みを感じ、以下のような症状が現れます。
- 食欲不振
- よだれが多い
- 食べにくそうにしている
ひどい場合は歯の根元部分に腫瘍ができてしまったり、伸びた歯に圧迫されることで涙が出る・眼球が突出するなど目の病気を引き起こすことも。
痛みや口内の違和感がストレスとなり消化器系の病気を併発してしまうこともあるので、早めに病院へ連れて行きましょう。
不正咬合の治療と予防方法
不正咬合の治療は、伸びた歯を切断し口内に傷ができていれば抗生物質を投与します。
伸びた歯の場所や伸び方によってそのまま切断するのが難しい場合は、切断に麻酔を用いることもあります。
不正咬合の予防は食事の内容が重要
普段の食生活が原因であれば、牧草中心の食事にすることで歯が上手く削れて防ぐことが可能です。
うさぎにペレットをたくさん与えている場合は、牧草の比率を増やしてみると改善が期待できます。
うさぎの主食は牧草であることを改めて確認しておきましょう!
その他にも、硬いものを噛ませることで歯が削れる効果を期待できるので、うさぎにかじり木を与えてみるのも良いでしょう。
ただ、先天的な骨格の問題などで噛み合わせに問題がある場合は、不正咬合の根本的な解決が難しいこともあります。
その場合は定期的に動物病院で歯を切断してもらう必要があるので、まずは獣医師にうさぎの歯の状態を確認してもらいましょう。
結膜炎
まぶたの裏側から黒目の周りを覆っている粘膜に炎症が起こる状態を結膜炎といいます。
前述でご紹介した不正咬合による目の圧迫や、細菌感染、排泄物や消毒液などから発生する刺激臭が主な原因です。
また、うさぎは眼球がぷっくりと前に突出しているので、ほこりなどの小さな刺激でも結膜炎につながってしまいます。
- 涙が多い
- 目が充血している
- 目やにが多い
- 目を気にしてこする
これらの症状がある場合は結膜炎を疑いましょう。
結膜炎の治療と予防方法
結膜炎の治療は抗生剤の点眼や内服、目の洗浄が一般的です。
細菌感染をさせないためにも、うさぎ用に刺激のないように考慮された消毒剤を使って、飼育スペースやトイレのこまめな掃除を心掛けてみましょう。
結膜炎の原因の1つであるほこりや牧草の細かいくずにも注意を払って掃除をしたり、素材にも気をつける事で高い予防効果が期待できます。
ソアホック
ソアホックとは「足底皮膚炎」「飛節びらん」とも呼ばれる、足の裏にできる皮膚炎です。
うさぎには肉球がなく被毛のみで覆われているので、足に負担のかかる環境は足裏の毛を薄くし、皮膚にダメージを与えてしまいます。
硬い床面での飼育や、運動不足による肥満、伸びすぎた爪が原因で発症してしまいます。
- 足をひきずる
- 歩かない
- 食欲、元気がない
これらの症状がみられたら要注意です。
ソアホックは早めに治療をしないと完治するまでに時間がかかりますし、悪化すると潰瘍になってしまいます。
進行すると皮膚がただれて痛みも伴うので、食欲や元気の低下が起こることも。
早期の発見と治療が重要な病気です。
ソアホックの治療と予防方法
まだ炎症の起きていない軽度の段階は、床材の変更やダイエットをするといった原因ごとの対応で改善できることがあります。
皮膚が赤く炎症を起こしている状態の治療は、まずは患部の洗浄と消毒です。
そして抗生剤・抗炎症剤・鎮痛剤などを必用に応じて投与します。
ソアホックの予防は飼育環境に気配りを
ソアホックの予防は、うさぎの飼育環境を見直すことです。
硬い床材やフローリングのような滑る環境は足裏に負担がかかり病気になってしまいます。
うさぎの爪が引っ掛からない毛足の短いカーペットやマットを敷くと良いです。
足裏が濡れる環境も病気になる原因ですので、飲み水は床にこぼれにくい給水ボトルにし、排泄物で床が汚れないようこまめな掃除をしましょう。
肥満傾向のうさぎは、運動不足や食生活を改善してダイエットを試みることで足への負担が軽減します。
さらに爪の伸びすぎにも注意が必要です。
爪が伸びていると、かかとにばかり体重がかかることでソアホックを引き起こします。
ソアホックのみならず、長い爪は引っかけてケガをしてしまうこともあるので定期的にケアしてあげましょう。
下痢
うさぎはお腹を壊しやすく、ストレスや他の病気の影響から併発して下痢をすることがあります。
うさぎの便はころころと乾燥した状態が普通ですが、下痢になるとお尻周りが汚れて衛生的にも良くないです。
よくある下痢の原因はこんなにもあります。
- 環境ストレス
- 精神的なストレス
- 不適切な食事からくるクロストリジウム性腸炎
- うっ滞や不正咬合など他の病気の影響
- 細菌、寄生虫に感染している
ストレスに敏感なうさぎは、快適な飼育環境を用意してあげないとお腹を壊すことがあります。
そして食事の内容も下痢と大きく関わりがあり、ペレットやおやつの与えすぎは体内の細菌バランスが乱れることでお腹の機能の低下に。
他の病気から二次的に下痢になってしまうことも多いですし、子うさぎの場合は細菌や寄生虫による感染症が原因となることもあるのです。
症状の重さは様々で、体質的にお腹を壊しやすい子もいますが、下痢は時に命にかかわることもあるので侮れません。
下痢の治療と予防方法
軽度の下痢であれば整腸剤を投与して食事や環境の見直しで改善することが多いです。
感染症が原因の場合は駆虫薬や抗生剤を投与して治療をします。
下痢の予防にはストレスを取り除いてあげることと適切な食事内容が大切です。
ストレスを感じさせないためにもこれらのことに気をつけましょう。
- 季節に合わせた室温を保つ
- こまめに掃除をして衛生を保つ
- 大きな音のする場所を避ける
- 過度にうさぎを構わない
- ペレットやおやつの量を減らして牧草中心の食事にする
こうした環境と食事への配慮が下痢の予防に最も効果的です。
特に衛生を保つことは感染症への予防にもつながりますので、飼育スペースの掃除は怠らないようにしましょう。
スナッフル
鼻水やくしゃみ、鼻詰まりなどの症状を総称してスナッフルといいます。
鼻のトラブルによって呼吸が苦しくなる呼吸器の疾患で、他のうさぎから菌をもらうことで発症する感染症です。
原因の多くはパスツレラ菌ですが、他にも黄色ブドウ球菌、気管支敗血症菌などがあります。
元々肺活量が多くないうさぎにとって、呼吸器疾患であるスナッフルは、悪化すると命に関わることもある危険な病気です。
- 鼻水
- くしゃみ
- 鼻詰まり
- 鼻をふがふがさせている
このような症状がみられたら早めに動物病院へ連れて行き、治療を受けましょう。
スナッフルの治療と予防方法
検査でどの菌に感染しているかを特定し、その菌に合う抗菌剤を投与して症状の改善を目指します。
呼吸状態がひどくて苦しい場合は酸素室で管理しながら治療をおこなうことも。
他にも、霧状の薬剤を吸わせるネブライザーも有効的です。
予防法としては、他のうさぎと接触する機会を避けるのが1番ですが、免疫力を保つことも重要です。
清潔な環境と牧草中心のバランスの良い食事で、うさぎにストレスを感じさせないように心掛けましょう。
斜頸(しゃけい)
斜頸とは、首が片側一方に傾いている状態のことをいいます。
体の平衡感覚をつかさどる部分が何らかの原因で影響を受けることで首が傾いてしまいます。
斜頸は、脳以外の場所に原因がある「末梢性」と、脳の神経になんらかの異常があって起こる「中枢性」の2種類の原因に分かれます。
末梢性の原因で代表的なのが、パスツレラ菌への感染で起こる内耳炎や中耳炎。
中枢性ではエンセファリトゾーンという寄生虫が脳に寄生する感染症が原因になることが多いです。
外部からの衝撃で首や頭に損傷を負う、脳に腫瘍があるといったことも斜頸の原因になります。
重度の斜頸では首の傾きが大きくなり、まっすぐ歩けない、体を起こすことができないといった状態に。
正常な平衡感覚を失うことから、ぐるぐるとその場で回り続けたり、横になってごろごろと転がり続けることもあります。
また、斜頸は常に目が回っている状態なので、程度によっては「眼振」といって黒目が揺れる症状もでます。
生活がしにくくなることで食事や水分補給が難しくなり、脱水や食欲不振、元気の消失につながることも。
重症化する前に早めに対応することが肝心です。
斜頸の治療と予防方法
細菌感染が原因の場合は抗生剤を投与して治療をしていきます。
寄生虫に感染しているケースでは駆虫薬を投与し、さらにステロイドを使うことも。
斜頸がひどくて食事が難しい状態では、脱水防止のために点滴をおこなったり、強制的に給餌をして体力が落ちないようにします。
パスツレラ菌やエンセファリトゾーンは、たとえ感染したとしても健康な状態であれば発症しません。
そのため、うさぎの免疫力を下げないためにも健康を保つことが予防へとつながります。
適切な温度と清潔な環境で飼育をし、うさぎへストレスがかからないように気を付けるのがベストです。
毛球症
毛づくろいなどで口に入った抜け毛が、お腹の中で毛玉になって詰まってしまう状態が毛球症です。
毛球症は胃腸の働きの低下が大きく影響して発症しますが、以下のような原因も考えられます。
- 換毛期で抜け毛が多い
- ストレスを感じて必要以上に毛づくろいをしている
- 長毛種のためお腹の中で絡まって毛玉になりやすい
- 水分不足
- 抜け毛以外にもカーペットや絨毯などの異物を食べてしまっている
- 牧草中心の食生活ではない
口から物を吐き出すことができないうさぎは、一度お腹に入ってしまった内容物は胃と腸を通って排出するしかありません。
しかし胃腸が上手く働かず、毛玉がお腹の中に留まり続けることで体に不調が現れます。
主な症状は、食欲や元気の消失と、便の量が普段よりも少なくなることです。
うさぎの胃腸機能の低下は全身の健康状態に悪影響を与えてしまうので、早めに対応しましょう。
毛球症の治療と予防方法
治療にはお腹の動きを良くする薬や、毛玉の分解を促す薬を投与して、便と一緒に排出しやすくします。
薬で改善しない重度の状態では、手術で詰まった毛玉を直接取り除くことも。
毛球症にさせないためには以下のことを意識すると良いです。
- 牧草をしっかり食べさせて胃腸を動かす
- 水分がとれるように新鮮な水に毎日交換する
- 適度に運動をさせてお腹の働きを良くする
- ブラッシングをこまめにおこなう
食事は牧草を中心にすることで、胃腸の働きが活発になります。
水分は野菜にも豊富に含まれているので、適度に与えてみるのも良いでしょう。
特に換毛期はこまめなブラッシングを心掛けることで毛球症を防ぐことができます。
尿路結石
尿を作りだす腎臓から体外に排出するまでの通り道である尿路に結石ができる病気を尿路結石といいます。
うさぎの尿路結石の大きな原因は判明していませんが、うさぎは尿中に含まれるカルシウム成分が多いので、結石が特にできやすいことが分かっています。
結石が尿路を塞いでしまうと、このような症状が現れます。
- 尿の量が少ない
- 尿が出なくなる
- 血尿が出る
- 頻尿になる
- トイレじゃない場所で粗相する
- 痛みで食欲がなくなる
結石が邪魔をして尿の出が悪くなるので、普段より尿量が減り排尿もしにくくなります。
尿路が完全に閉塞して尿が全く出なくなってしまうと、膀胱破裂や腎不全を引き起こし命に関わることも。
尿に関して異変を感じたら、早めに動物病院へ連れて行きましょう。
尿路結石の治療と予防方法
結石が詰まっていない軽度の段階では、点滴で尿量を増やして結石が外に流れ出るようにする治療が一般的です。
結石が尿路を完全に塞いでいる場合は、カテーテルを通して尿路を開通させたり、手術で結石を取り除くことも。
血尿が出ているときは、止血剤や抗炎症剤、抗生剤を投与しながら治療を進めていきます。
普段の心掛けで尿路結石は予防ができますので、以下の方法を試してみてください。
カルシウムの多い野菜やペレット、牧草に気を付ける
食事に含まれるカルシウムに気を付けることで結石を防ぐ効果が期待できます。
まず、ペレットはカルシウム含量が0.44%程のものが好ましいです。
商品によってはカルシウム含量が1%以上の物もあるので、成分表を確認してみましょう。
そして牧草はカルシウム含量が0.5%程である、イネ科のチモシーを与えるのが1番良いです。
アルファルファなどのマメ科の牧草はカルシウム含有量が1%以上と高いので適していません。
さらに野菜は高カルシウムの種類に注意が必要です。
カブの葉、大根の葉、ニンジンの葉はうさぎが好みますがカルシウムが多く含まれています。
その他にもパセリ、大葉、水菜もカルシウムが豊富ですので、与えすぎないように気を付けましょう。
水分をたくさん摂る
水分をしっかり摂取して十分な尿量を排出することが結石予防には重要です。
水は新しいものに毎日交換し、好きなタイミングで充分飲めるようにしてあげましょう。
飲む頻度が少ないと感じるときは、野菜を与えたり、給水の位置や器を変えるなど工夫をしてみると良いですよ。
定期的に健康診断を受ける
結石は、小さい状態でははっきりとした症状が現れないこともあり、気が付いた時には詰まっていたなんてことも。
動物病院で定期的に尿検査をしてもらうと、早期発見につながるので安心です。
健康時の尿の状態を把握しておく
普段の尿の色やトイレの汚れ具合、大体の排尿頻度などを知っておくと、異常があった時に気が付きやすいです。
いつもよりトイレの汚れが少ない、血が混じっている、何度もトイレに行くという時は尿路結石のサインですので、病院へ連れて行く目安になります。
皮膚疾患
うさぎは皮膚トラブルも多く、環境やストレスの影響を受けやすいです。
細菌や寄生虫、カビなどが増殖することで皮膚炎となるケースが多く、主に痒みや赤みを伴います。
痒みがひどいと搔きむしって皮膚が余計にダメージを受けてしまい、ジュクジュクとただれてしまうことも。
他の疾患から併発して起こることもよくあります。
涙が多く出る、不正咬合によるよだれで口周りが常に濡れている、下痢でお尻が汚れているなど皮膚が湿った状態は特に皮膚炎が起こりやすいです。
皮膚疾患の治療と予防方法
皮膚炎の治療は、細菌性のものなのか、寄生虫によるものなのか原因を特定してから抗生剤や駆虫薬などそれぞれに合う薬を投与します。
皮膚がただれている状態では、洗浄と消毒をした後に傷を保護して経過をみていくのが一般的です。
他の病気が原因で二次的に皮膚炎を発症しているときは、元の病気の治療をしながら改善を目指します。
皮膚疾患の予防は清潔を心掛ける
皮膚は濡れた状態にしていると菌が増殖し皮膚炎になるリスクが高まるので、清潔な状態を保つのが予防には最も効果的です。
排泄物はこまめに掃除をして衛生的な飼育スペースにしましょう。
飲み水で足元が濡れる場合は給水ボトルに変更したり、飲み水の周りが濡れないようにマットやシーツを引くのも方法の1つです。
また、肥満傾向のうさぎは皮膚疾患になりやすいので、適度な運動と正しい栄養バランスの食事で体重管理をしましょう。
他にも、こまめなブラッシングは健康を保つのに効果的ですので毎日のお手入れに取り入れてみてください。
脱毛症
皮膚トラブルの1つである脱毛は、細菌や寄生虫に感染することで起こります。
脱毛が症状に現れる皮膚の病気は主にこちらの3つが代表的です。
- ツメダニというダニが皮膚に寄生する「ツメダニ症」
- 皮膚で真菌というカビが増殖する「皮膚糸状菌症」
- 細菌感染が原因の「膿皮症」
これらの病気の症状は、脱毛の他にも痒み・フケ・赤みを伴うこともあります。
特にツメダニ症と皮膚糸状菌症は「人獣共通感染症」といって、人やうさぎ以外の動物にも移る感染症ですので、うさぎを触った後は手を洗って感染を拡げないようにすることが大切です。
脱毛症の治療方法は、まず皮膚の検査をして原因ごとに駆虫薬、抗生剤、抗真菌剤などそれぞれ選択して投与します。
皮膚の感染症は、ストレスや他の病気で免疫力が低下していると発症率が上がります。
うさぎの飼育環境は適度に換気をして快適な室温を保ち、栄養バランスの取れた食事で免疫力を高めましょう。
膀胱炎
膀胱炎は細菌や結石が原因で膀胱内の粘膜に炎症が起こる病気です。
不衛生な環境下での飼育が原因となることが多く、飼育スペースの掃除不足が膀胱内の細菌感染を引き起こします。
- 血尿がでる
- 排尿に時間がかかる
- 少量の尿を頻繁にする
- 尿がでない
- いつもより尿のニオイがきつい
- トイレではない場所で粗相をする
- 食欲がなくなる
これらの症状が現れたら膀胱炎を疑いましょう。
膀胱炎の治療は抗生剤を投与して炎症を抑えますが、結石が原因であれば点滴や尿路にカテーテルを通して結石の排出を促します。
膀胱炎の予防には食事と清潔な環境が有効
日常でできる予防法は以下の通りです。
- カルシウム含量に気を付けた食事にする
- しっかりと水分摂取できるようにする
- 飼育スペースは適度に掃除をして清潔を保つ
- 普段の排尿回数や尿の色、ニオイを知っておく
カルシウムの過剰摂取に気を付けることで結石の予防につながります。
ペレットはカルシウム含量が1%以下のもの、牧草はチモシーがおすすめです。
そして水分を充分摂ることで、たとえ結石ができてしまっても体外に排出されやすくなります。
細菌感染には衛生環境を保つことが1番ですので、こまめな掃除を心掛けて飼育スペースを清潔にしましょう。
骨折
うさぎの骨は軽いので、ちょっとした衝撃でも骨折をしてしまいます。
- 抱っこを嫌がって飛び降りる
- ソファーやベッドからジャンプする
- 爪切りなどを嫌がって暴れる
- 爪がカーペットや隙間に引っ掛かる
このような原因で骨折してしまうことが非常に多いです。
骨折の治療は大掛かりになるとプレートやピンを使って、折れた骨を固定する手術をおこないます。
手術をおこなわずにギプスや包帯で骨折部位を固定したり、固定するのが難しいときは狭いケージ内で動きを制限して自然と骨がくっつくのを待つような治療方法を取ることも。
骨折をさせないためにも、ケージ外に出して遊ぶ時はうさぎがよじ登れそうな物はどかしてください。
抱っこはなるべく座ってするようにし、嫌がる子を無理に抱き上げるのも控えましょう。
事故を防止するための日常ケアとして爪切りは必要ですが、嫌がって暴れる子は動物病院にお任せをするのが安心です。
うっ滞
様々な原因によって胃腸の働きが低下することをうっ滞といいます。
誤った食事内容でお腹にガスが溜まったり、異物や食べ物が詰まると胃腸の活動が停滞してしまいます。
うさぎはお腹の動きが停滞すると命に関わることもあるので注意が必要です。
- 食欲がなくなる
- 元気がなく動かない
- 便が小さい、量が少ない
- 痛みからお腹を触られるのを嫌がる
このような症状がみられたらまずは動物病院で診てもらいましょう。
うっ滞にさせないためには、充分に牧草を与えて繊維質を摂取し適度に運動することが予防に効果的です。
運動はストレス発散にもなるので、時々ケージの外へ出して遊んであげると良いですよ。
熱中症
体温が高く暑さに弱いうさぎは、特に夏場の熱中症対策は必須です。
- 床で足を伸ばして寝ている
- 水を頻繁に飲む
- 呼吸が荒い
- 耳を振る
- 耳が普段より赤い
これらはうさぎが暑いと感じているサインです。
ぐったりしている、ふらつく、立ち上がれないといった様子があれば冷えたタオルや保冷剤で体を冷やしてすぐに病院へ連れて行ってください。
熱中症を防ぐには、エアコンで涼しく過ごせる室温に調整してあげましょう。
うさぎを飼育する際の室温は18℃~25℃ほどが好ましく、湿度は40~60%が丁度良いです。
ケージは直射日光の当たらない場所に置き、暑いときに涼めるように冷感マットを用意してあげるのも対策の1つになります。
角膜炎
目の表面を覆う角膜に炎症が起こる病気です。
牧草のくずやほこりが目に入る、細菌感染する、何かにぶつかるといったことが原因で発症します。
うさぎの目のトラブルの中でも角膜炎はよくみられる病気です。
角膜炎になるとこのような症状が現れます。
- 涙がたくさん出る
- 目をショボショボさせている
- 充血している
- 目やにが出る
- 目をこする
- 目の表面が白く濁る
角膜炎の予防には、飼育スペースを清潔に保つことが有効的です。
こまめに掃除をしていれば、目に入る恐れのある牧草のくずやほこりを除去できますし、細菌の増殖も防げます。
また、とがっているような目を傷つける恐れのある物は撤去しておくと安心です。
呼吸器疾患
前述でご紹介した「スナッフル」は鼻炎などが関連している上部呼吸器疾患ですが、肺や心臓が原因の場合は下部呼吸器疾患となります。
うさぎの呼吸器疾患は鼻水や鼻詰まりで呼吸が苦しくなるスナッフルが最も多いです。
鼻から入った細菌が移行することで、肺炎や気管支炎などを引き起こすこともあります。
心臓の病気では「僧帽弁閉鎖不全症」が代表的で、こちらも呼吸困難を起こす病気の1つです。
- 鼻水・鼻詰まり・くしゃみがある
- 呼吸がいつもより早い
- 口を開けて呼吸をしている
このような症状がある場合は呼吸器疾患の疑いがあります。
呼吸の異変に気が付いたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
精巣腫瘍
精巣腫瘍とはいわゆる精巣のガンで、去勢をしていない5歳以上のうさぎに発症しやすいです。
2つあるうちの片方が肥大することが多いですが、まれに両方の精巣が大きくなることもあります。
うさぎの体調に変化は現れませんが、肥大が進むと床につくほど大きくなり、赤みがでたり表面がジュクジュクしたりするような皮膚炎を併発します。
治療は左右両方の精巣を取り除く去勢手術をおこないますが、うさぎの年齢によっては麻酔のリスクもあるので、手術をしないで対症療法で経過をみるケースもあります。
1番の予防は、生後6か月~12ヶ月頃の若いうちに去勢手術を行うことです。
年齢に比例して麻酔による体への負担が上がるので、子うさぎをお迎えしたら動物病院で相談してみましょう。
子宮疾患
子宮疾患は「子宮腺癌」、「子宮水腫」、「子宮内膜症」、「子宮蓄膿症」など様々あります。
4歳以上の避妊をしていないうさぎは、子宮疾患にかかるリスクがとても高いです。
どの子宮疾患でも進行すると命を落とす危険があるので、早期の発見と治療が非常に重要となります。
最も気が付きやすい症状は血尿で、他にも陰部からの出血、お腹が大きく張る、お腹を触ると硬いといった症状も。
食欲や元気の消失は子宮疾患の末期症状で、この頃になるとかなり体は弱っている状態です。
うさぎは1年のうちほとんどが発情期なので、年中繁殖することが可能です。
そのため、発情中に分泌されるホルモンの影響が、子宮疾患を招く原因ではないかといわれています。
治療方法は子宮と卵巣を摘出する避妊手術が一般的ですが、進行して他の部位に転移していると麻酔のリスクが上がるので、外科的治療ができないこともあります。
子宮疾患は薬の投与など内科的治療での完治は困難で、早期の発見が重要な病気です。
お迎えしたら早めに避妊手術をしよう
子宮疾患にならないためには、避妊手術をすることが最も効果的な予防方法です。
生後6ヶ月~12ヶ月頃が少ないリスクで避妊手術をおこないやすいタイミングですので、この時期に手術の予定を立てることをおすすめします。
子宮疾患は悪化すると予後が悪い病気ですので、繁殖をさせる希望がなければ避妊手術をして予防をしておくと、高齢になった時も安心できるかと思います。
うさぎが病気に掛からないように飼い主にできること
少しでも長生きできるように、健康に暮らせるようにと願う飼い主さんは多いはずです。
うさぎの健康を守るためには毎日のちょっとした心掛けが大切になります。
病気の種類はたくさんありますが、その予防方法は食生活や衛生管理など共通したものばかりです。
うさぎを病気にさせないためにも、飼い主として特に心掛けてほしい飼育管理をご紹介します。
適度に掃除で清潔に保ち風通しをよくする
不衛生な環境は細菌が繁殖し、うさぎに大きな悪影響を与えてしまいます。
トイレと飼育スペースは毎日掃除をするようにしましょう。
さらに適度に換気をすることで、空気がこもらず細菌なども繁殖しにくいです。
これだけでもうさぎがなりやすいほとんどの病気を防ぐ効果が期待できます。
刺激の強い消毒剤を使用しない
こまめな掃除で衛生環境を保つことは大切ですが、使用する消毒剤には注意をしてほしいです。
私たちの人体には害のない消毒剤でも、うさぎにとっては強い刺激となることがあります。
揮発した消毒剤が目などを刺激することで結膜炎のような病気を起こす原因に。
アルコールフリーのものや、ペットショップで販売されている専用の消毒剤を使いましょう。
適切な食事で歯の健康を保つ
歯が生涯伸び続けるうさぎは、牧草をたくさん食べることで歯が上手く削れていきます。
前歯や奥歯が伸びすぎてしまう「不正咬合」になると、口の中だけでなくお腹や目の病気、そして全身の体調不良につながることに。
うさぎにとって歯の健康は、全身の健康状態に影響するといっても過言ではありません。
ペレットやおやつの与えすぎに注意し、主食を牧草にして繊維質をたっぷり摂れるようにしてあげましょう。
そうすることで、歯だけでなくお腹の健康状態も良好になります。
細かいウッドチップや牧草の使用をやめる
目の病気にかからないためには、使用している床材や牧草の種類を見直してみると良いです。
ほこりやくずが目に入って炎症を起こすリスクが少なくなります。
目のトラブルから二次的に起こる目の周りの皮膚炎の予防にもつながりますよ。
まとめ
- ホームケアを怠るとうさぎは病気にかかりやすい
- うさぎの病気は1つかかると他の病気を併発しやすい
- どの病気も日常のお世話に気を配ることで予防できる
- 早期発見にはうさぎとたくさんコミュニケーションをとって普段の様子を知っておく
今回はうさぎがかかりやすい病気についての詳細を、治療や予防方法と併せてご紹介しました。
うさぎはストレスなどの影響を受けやすいため、犬や猫に比べると小さなきっかけで病気にかかりやすいかと思います。
ただ、適した食事バランスと適度な運動と、掃除や爪切り、ブラッシングなどの基本的なお手入れを怠らなければ病気を予防することが充分にできます。
かかりやすい病気はいくつかありますが、毎日のお世話でほとんどの予防ができますので、今回の内容を参考にしてみてくださいね。
今やペットという域を超えて家族の一員であるうさぎと、少しでも長く一緒に過ごしたいと思うのは飼い主として当然の願い。
愛情を持ってお世話をしていれば、きっとうさぎも長生きして応えてくれるはずです。
様々な小動物を飼ってきた私が、もっと気軽に小動物の飼い主同士がやり取り出来たり、落ち着くコミュニティだったり、悩んだ時に質問しあえる環境が欲しくてサービスを提供しています!
飼い主の皆さん自身も、もちろんペットもより快適で幸せに暮らすために、ぜひ一度ご覧ください!