ハムスターがかかりやすい病気とは?症状やサイン、対策から治療費まで

ハムスターはその可愛らしい見た目と、お世話のしやすさからペットとして大人気の動物です。

しかしハムスターは病気になりやすいのも事実です。ハムスターをお迎えする際は、あらかじめハムスターがかかりやすい病気を知っておき、症状やサインから早期発見できるようにしておきましょう。

中には命にかかわる病気もあるので注意が必要です。

今回はハムスターがかかりやすい病気、症状やサイン、対策から治療費までご紹介します。

目次

ハムスターの病気のサイン

病気になりやすいハムスター

ハムスターは本能的に病気やケガなどを隠そうとします。そのため病気の発見が遅れてしまうことも。

日頃から注意深くハムスターの様子を観察することが大切です。

ハムスターの異変に早く気づくためにも、以下のようなハムスターの病気のサインを覚えておきましょう。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • じっとして動かない
  • 糞の異常
  • 体が汚れている
  • 体を痒がっている
  • 脱毛
  • 発疹
  • 目の炎症
  • くしゃみ、鼻水

ハムスターがかかりやすい病気とその症状

ハムスターがかかりやすい病気とその症状は以下の通りです。

かかりやすい病気症状
角膜炎涙や目ヤニで目が開かなくなる
結膜炎涙や目ヤニで目が開かなくなる
まぶたが腫れる
眼球突出眼球が飛び出たように腫れる
歯周病食欲低下、目が飛びだす
不正咬合歯が欠ける、歯が曲がる
​​風邪鼻水が出る、鼻の下がただれる
アレルギー性鼻炎鼻水が出る、鼻の下がただれる、耳が赤くなる
頬袋脱頬袋が口の外に出る
頬袋の炎症悪臭、膿や血が出る
ニキビダニの寄生痒み、脱毛
​​栄養性脱毛脱毛
悪性腫瘍しこり
外耳炎傷、かさぶた、出血
骨折手足の腫れ、曲がっているなど
低体温症呼吸が浅くゆっくりになる
腸閉塞食欲低下、お腹が膨らむ
寄生虫性陽炎下痢、悪臭、体重減少
尿路結石尿の変化、体重減少
精巣炎生殖器が垂れる
子宮蓄膿症生殖器の出血、膿、お腹が膨らむ

それぞれの病気ごとに詳しく見ていきましょう。

ハムスターの目の病気

目にゴミが入っているハムスター

ハムスターがかかりやすい目の病気は、角膜炎、結膜炎、眼球突出があります。

  • 目を掻く
  • 目ヤニが出ている
  • 目がちゃんと開いていない
  • 目が腫れている
  • 目が飛び出している

このような症状が出ている場合は、目の病気の可能性があります。

飼育環境を清潔に保つことで予防できるものがほとんどなので、毎日ケージ内の清掃を徹底しましょう。

角膜炎

角膜炎は、目に炎症が起きてしまう病気です。

角膜炎になると、涙や目ヤニで目が開かなくなってしまいます。

目の中に床材やトイレ砂など、ゴミが入ってしまい、ハムスターが自分で取ろうと目を擦ってしまうことで起きます。

結膜炎

結膜炎は、細菌やウイルスによって目に異常が出る病気です。

結膜炎になると、涙や目ヤニで目が開かなくなることも。さらにまぶたが腫れたり、結膜が赤くなることもあります。

結膜炎と角膜炎は似ていますが、結膜炎は原因が細菌感染であることに対し、角膜炎は外傷が原因です。

眼球突出

眼球突出は、眼球が飛び出たように腫れるという症状が出ます。

原因は頭部の腫瘍や外傷などがあります。症状が進むと失明の可能性もある病気です。

ハムスターの歯の病気

口をあけているハムスター

ハムスターがかかりやすい歯の病気は、歯周病、不正咬合などがあります。

  • 頬が腫れている
  • ヨダレが出ている
  • 血が出ている
  • 口が開いている

このような症状が出ている場合は、口の病気の可能性があります。

 歯周病

歯周病は、食欲がなくなったり、目が飛び出すなどの症状が出ます。

歯周病は不衛生なケージなどをかじることによる細菌感染が原因のものがほとんどです。

軽症の場合は抗生剤治療で済みますが、重症にあると手術や歯を切る必要があります。

さらに眼球摘出になる場合もあるので、早めの治療が重要です。

 不正咬合

不正咬合は、歯が欠けたり曲がってしまったりする病気です。

先天的な要因や、金属のケージをかじることで起こりますが、カルシウム不足や遺伝が原因で起こることもあります。

不正咬合を放置すると、歯周病や過長歯になり、口が閉じられなくなったり出血する恐れも。

歯が削れるようにかじり木や、固めのペレットをあげるなどの対策が必要です。動物病院で歯を削ってもらうという方法もあります。

ハムスターの鼻の病気

ハムスターがかかりやすい鼻の病気は、風邪やアレルギー性鼻炎です。

  • 鼻水が出る
  • 鼻の下がただれている

このような症状が出ている場合は、鼻の病気の可能性があります。

​風邪

ハムスターは寒さに弱い動物なので、少し寒いと感じただけでも風邪をひいてしまいます。

風邪の症状としては、鼻水が出る、鼻の下のただれなどです。このような症状が出ていたら、風邪を疑いましょう。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、風邪の症状と同じく鼻水が出たり、鼻の下がただれたりしますが、さらに耳が赤くなったり、呼吸困難になる場合もあります。

床材などがアレルギーの原因になっている可能性があるので、床材をアレルギー反応が起きにくいものに変えるなどの対策が必要です。

ハムスターの口の病気

ハムスターがかかりやすい口の病気は、頬袋脱、頬袋の炎症などがあります。

  • 頬が腫れている
  • 悪臭がする
  • 口の中に膿が出ている
  • 口の中が血が出ている
  • ヨダレが出ている
  • 口が開いている

このような症状が出ている場合は、口や歯の病気の可能性があります。

頬袋脱

頬袋脱とは、頬袋がひっくり返って口の外に出てしまう状態のことを言います。

頬袋脱は、頬袋を動かす筋肉が損傷したり、食べものが頬袋にくっつくことで起こります。

頬袋脱は再発の可能性が高いので、出術をして頬袋を切除する必要があります。

頬袋の炎症

頬袋が腫れている、口から悪臭がする、膿や血が出ているなどの症状が出ている場合は、頬袋が炎症を起こしている可能性があります。

頬袋の炎症は、エサやおやつなどが長時間頬袋に入っており、粘膜に付着していると、食べものが腐ることにより炎症を起こします。

この場合は炎症を起こしている部分を手術で切開し、中の膿を取り出します。その後は定期的に消毒や抗生剤による治療が必要になります。

また頬袋の炎症や、歯茎や舌が白くなっているなどの症状が出ている場合は、心臓病の可能性もあります。

ハムスターの皮膚の病気

痒さで毛繕いするハムスター

ハムスターがかかりやすい皮膚の病気は、ニキビダニの寄生、栄養性脱毛、悪性腫瘍などがあります。

  • 脱毛
  • 薄毛
  • かゆみ
  • 発疹
  • ただれ
  • 出血
  • フケ

このような症状が出ている場合は、皮膚の病気にかかっている可能性があります。

このような皮膚の病気の原因は、不衛生な飼育環境やストレス、アレルギー、栄養不足や寄生虫などがあげられます。

ニキビダニの寄生

ハムスターにニキビダニが寄生するとニキビダニ症などの病気になります。

ストレスや栄養不足などにより、免疫力が低下している時に起こりやすい病気です。

ニキビダニが寄生すると、体を痒がったり、脱毛が見られたりします。

このような場合は殺ダニ剤を塗って治療します。

ニキビダニの寄生を防ぐには、定期的なケージ内の清掃が必要です。 

栄養性脱毛

栄養性脱毛とは、栄養不足によって起こる脱毛です。

顔の周りや手足などの部分的な脱毛や、全身の毛が抜ける場合もあります。

悪性腫瘍

ハムスターは腫瘍ができやすい動物です。さらに高齢になると免疫力が下がるため、さらに腫瘍ができやすくなります。

体内に腫瘍ができると発見が遅れてしまうことも。しこりなどに気付いた場合は早めに動物病院に連れていきましょう。

その他の病気

ハムスターがかかりやすい病気はほかにもたくさんあります。

外耳炎

外耳炎になると、耳を頻繁に掻くようになり、傷やかさぶた、出血などが見られます

原因は細菌感染やケガなどがあります。外耳炎は症状が進むと、中耳炎や内耳炎になることもあるので、早めの治療が必要です。

骨折

ハムスターの手足が腫れていたり、曲がっていたりする場合は骨折の可能性があります。

ハムスターは手足が小さいためとても骨折しやすいです。

回し車に挟まってしまったり、高いところから落ちてしまうと骨折してしまいます。部屋んぽの際も気を付けましょう。

低体温症

低体温症とは、急激な温度変化によって体温が下がり、呼吸が浅くゆっくりになった状態のことを言います。

低体温症は、疑似冬眠とも呼ばれます。疑似冬眠は体力が奪われるため、命にかかわる場合も。

気温差が10度以上あったり、5~10℃の環境に置かれたりすると起こりやすくなります。

腸閉塞

いつもより糞が小さい・量が少ない場合は腸閉塞の可能性があります。

他にも腸閉塞になると、食欲がなくなったりお腹が膨らむなどの症状が出ます。そしてだんだん痩せていきます。

原因としては、毛繕いや固まるタイプのトイレ砂の誤飲など、消化できないものを食べてしまったことが考えられます。

腸閉塞は放っておくと命にかかわる場合もあるので、日頃から糞の様子などもチェックしましょう。

寄生虫性陽炎

ハムスターが下痢をしている場合や、悪臭がある場合、また脱水症状や体重減少などの症状がみられる場合は、寄生虫性陽炎の可能性があります。

寄生虫性陽炎は、不衛生な環境によって起こる寄生虫症や細菌感染が原因です。

日頃からケージ内は清潔に保つことが大切です。

尿路結石

尿路結石になると、オレンジ色の尿や血尿、失禁、多尿、悪臭などの症状が出ます。これにより貧血や体重減少も起こります。

尿路結石の原因は、ミネラルやカルシウムなどを過剰に摂りすぎた場合や、細菌感染、遺伝などがあります。

精巣炎

オスのハムスターの場合は、精巣炎という病気にかかる可能性があります。精巣炎とは、ホルモンバランスの異常や飼育環境の悪さによって発症する病気で、オスの生殖器が垂れてくるなどの症状があります。

子宮蓄膿症

メスのハムスターの場合は、子宮蓄膿症という病気にかかる可能性があります。子宮蓄膿症とは、子宮の中に血や膿が溜まってしまう病気です。

症状としては、生殖器からの出血や膿が出る、お腹が腫れる、脱毛などがあります。

子宮蓄膿症の原因としては、細菌感染や出産によるホルモンバランスが崩れたことなどがあげられます。

ハムスターの治療費の目安

ハムスターの治療費は、同じ処置でもその動物病院によって治療費が変わります。

そのため目安としてのハムスターの治療費をご紹介します。

内訳は下記の表のとおりですが、ハムスターの治療費は2,000~5,000円ほどかかると思っておきましょう。

さらに検査や手術、入院になると20,000~30,000円以上になる場合もあります。

項目費用
診察料1,000~3,000円
(初診の場合は1,000~2,000円)
※夜間救急の場合は、5,000~10,000円加算
検査料1,000~3,000円
超音波検査3,000~5,000円
レントゲン検査2,000~5,000円
(枚数によって変動あり)
爪切り500~2,000円
歯切り1,000~3,000円
手当て1,000~3,000円
注射・点滴2,000~3,000円
手術10,000~100,000円
入院1日3,000~5,000円
薬代1日数百円程度

ハムスターを健康に育てるためのポイント

ハムスターの寿命は2~3年と言われています。少しでも健康で長生きしてもらうためにも、気を付けるべきことをご紹介します。

ハムスターを健康に育てるためのポイントは以下の4つです。

  • バランスの取れた食生活
  • 衛生管理を徹底
  • 適切な温度管理
  • なるべく1匹ずつ飼育

バランスの取れた食生活

ご飯を食べるハムスター

ハムスターが健康に育つには、バランスの取れた食生活が必要です。

ペレットを主食にして、野菜や果物、ヒマワリの種などをバランスよく与えましょう

ハムスター専用のペレットの他に、人参やかぼちゃ、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、トウモロコシなどの野菜や、リンゴ、バナナ、イチゴ、メロンなどの果物をおやつとしてあげましょう。

ヒマワリの種は、高カロリー・高脂質なので与えすぎには注意が必要です。

またハムスターは雑食なので何でも食べてしまいます。しかし中にはハムスターに与えてはいけない食べ物もあるので注意しましょう。

とくに玉ねぎ、ネギ、ニンニク、ニラ、アボカド、チョコレート、どんぐり、リンゴ、卵、ジャガイモなどは、ハムスターが中毒症状を起こしてしまうので、注意が必要です。

衛生管理

ハムスターは皮膚の病気になりやすい動物なので、床材はこまめに交換して清潔な環境を保つなど、衛生管理を徹底しましょう。

汚れた床材やトイレ砂、飲み水や食べ残したエサなどの交換は毎日行い、月に1回はケージ全体の清掃を行いましょう。

適切な温度管理

ハムスターは暑さや寒さにとても弱い動物なので、適切な温度管理が大切です。

ハムスターにとっての適温は20~26℃、湿度は40~60%です。

夏は30度以上になると体力を消耗してしまいます。冬は5度以下になると体温が低下して動くことができなくなってしまいます。

このように温度管理はハムスターの命に係わる重要な問題なのです。

夏はエアコンをつけ、冬はペット用ヒーターなどで温度調節をしましょう。またハムスターが自分で体温調節ができるように、床材を多めに入れておきましょう。

なるべく1匹ずつ飼育する

多頭飼いされているハムスター

ハムスターを飼育する際は、なるべく1匹ずつ飼育するということも大切です。

野生のハムスターは本来1匹で生活しています。ペットショップなどでは1つのケージで複数のハムスターが入れられていますが、幼いころは問題ありませんが、成長するにつれて縄張り意識が強くなっていくので、多頭飼いはおすすめできません。

命を落とすまでの激しい喧嘩をすることもあるので、複数ハムスターをお迎えする際は、1つのケージに1匹ずつ飼いましょう。

 

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この記事を書いた人

小動物飼養販売管理士。
小動物専用SNS「すもあに」開発者。
自身もハムスターや小鳥、デグーにモモンガと多数の小動物を飼育。

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