「フェレットってどんな病気にかかりやすいの?」
フェレットの飼い主さんでこんな疑問を抱いたことがある人はいませんか?
大切なフェレットにいつまでも元気で過ごしてもらうには病気の予防が肝心。
「もっと早くに気が付いていれば…」なんてことにならないように、なりやすい病気やその症状をある程度知って予防に努めたいですよね。
そこで今回は、フェレットがなりやすい病気の症状や治療費用についてご紹介していきます。
「フェレットの病気について知りたい!」という飼い主さんはもちろんのこと、「これからフェレットを飼いたい!」と思っている人もぜひ参考にしてください。
あなたのフェレットがこれからも健康に過ごしていくために、病気について一緒に学んでいきましょう!
フェレットは病気になりやすいのか
フェレットは病気になりやすいというわけではありません。
フェレットがなりやすい病気はいくつかありますが、特別病気に弱いということはなく、食事や温度管理など気を付けるべきポイントを押さえていれば長生きしてくれます。
近年ではペットとしてフェレットを飼う人が増えていますが、飼育が大変だというイメージを抱いている人もまだまだ多いように感じます。
ネットで得られるフェレットの情報もまだまだ少なく、ネットの質問では犬や猫は病気だけでなくしつけや性格の悩みなど幅広く寄せられているのに対し、フェレットは病気に関することが中心です。
そのためフェレットを飼育し始めた人や、これから飼いたいと思っている人からすると、「フェレットは病気になりやすくて大変なのでは」という印象を抱いてしまうのかもしれません。
フェレットの体調不良のサイン
フェレットが体調不良のときにみせる主なサインがこちらです。
- 食欲がない、食いつきが悪い
- 便が緩いまたは出ていない
- 体を必要以上に掻く
- ふらつきがある
- 鼻水やくしゃみがみられる
- 咳をしている
- いつもより元気がない
人間と違ってフェレットをはじめとする小動物は、自然界で生きていたなごりから病気やケガなどの体調不良を本能的に隠します。
普段の元気な時の様子が分かっていれば、異変に気が付きやすいので毎日のコミュニケーションはとても重要です。
私たち飼い主がフェレットからの病気のサインをしっかりと汲み取ってあげましょう。
フェレットの特徴
細長い体を持つフェレットには、腸管が短いという特徴があります。
消化スピードはとても早く、食べた物は食後3~5時間という短時間で糞として排出されます。
消化吸収の効率を考えると、フェレットの食事は高カロリー・高タンパク・低繊維のものが望ましいです。
健康維持の基盤となる食事のバランスにはしっかり気を遣っていきたいですね。
フェレットの遺伝性疾患
フェレットの遺伝性の病気に「若年性白内障」があります。
白内障は、高齢になると発症する「老年性白内障」と、1歳ごろまでに発症する「若年性白内障」に分かれます。
遺伝的に白内障の血を引いているフェレットの場合、若年性白内障を発症する確率が高いです。
予防をするには繁殖をしないこと、無理のない正しい繁殖を行なっているブリーダーからお迎えすることが求められます。
健康なフェレットをお迎えするには、信用できるペットショップやブリーダーの見極めがなにより大切です。
フェレットの寿命
フェレットの平均寿命は6~10年ほどで、4~5歳頃からシニア期に入ります。
大事に育てていれば10年以上生きることもあるので、長生きを目標にお世話していきたいですね。
フェレットに適した飼育環境とバランスの取れた食事を心掛け、たっぷりの愛情を注いであげましょう。
フェレットがなりやすい病気の一覧と予防方法
フェレットがなりやすい病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
飼い主としてフェレットの健康を維持するためにも、なりやすい病気についてきちんと知っておきたいですよね。
そこで、フェレットがなりやすい病気の特徴や症状、予防に効果的なことをまとめてみました。
病名 | 病気の概要 | 予防方法 |
---|---|---|
インスリノーマ | 膵臓に腫瘍ができる影響で低血糖になる | ・定期的な健康診断 ・適した食事や環境 |
副腎疾患 | 副腎に腫瘍ができたり肥大化したりすることで ホルモンバランスが乱れる | ・定期的な健康診断 ・適した食事や環境 |
フィラリア症 | フィラリアが心臓に寄生することで 心不全や呼吸障害を起こす | フィラリア予防薬の摂取 |
ジステンパー | 犬ジステンパーウイルスに感染することで 重篤症状となる | 予防接種 |
耳ダニ | 耳ダニに感染することで ひどい耳垢や強い痒みを引き起こす。 | こまめな耳掃除 |
フェレットの未避妊 | 発情状態が持続し続ける影響から ホルモンバランスが乱れて貧血になる | ・避妊手術をする ・未避妊のフェレットをお迎えしない |
これらの病気について詳しくみていきましょう。
インスリノーマ
インスリノーマは、膵臓に腫瘍ができることで血糖値を下げる役割を持つ「インスリン」というホルモンが必要以上に分泌されてしまう病気です。
血中のインスリンが増えることでフェレットが低血糖状態に陥り、これにより様々な弊害が引き起こされます。
はっきりとした原因がわかっていない病気で、高齢のフェレットに発症します。
内科的治療の場合は血糖値を上昇させる目的でステロイドを服用し、外科的治療では膵臓にある腫瘍の摘出を行なうのが一般的です。
しかしインスリノーマの腫瘍は小さくて膵臓全体にびまん性に広がる特徴があり、腫瘍摘出後も生涯にわたって薬飲み続けることになります。
手術では麻酔のリスクが伴うことから、内科的治療のみで進める場合もある病気です。
症状
インスリノーマにかかると以下の症状があらわれます。
- 後肢のふらつき
- 寝てばかりいる
- ぐったりしている
- 口周りを手で掻く
- よだれを垂らしている
ひどい場合はボーっとして昏睡状態になったり、ケイレンなどの発作を起こしたりします。
「活発だったのに最近元気が無い」「活動しないで寝ている時間が増えた」こんな異変を感じたら要注意です。
予防方法
インスリノーマは原因が解明されていない病気のため、残念ながら明確な予防方法がありません。
進行性の病気なので、早期の発見と治療がとても重要です。
定期的な血液検査などの健康診断を受けて、早い段階での病気の治療につなげましょう。
副腎疾患
副腎疾患は、腎臓の付近にある副腎という左右1対の小さな臓器に腫瘍ができたり、肥大化したりする病気です。
副腎に異常が起こると性ホルモンが過剰に分泌され、フェレットの体に様々な悪影響を及ぼします。
中高齢のフェレットに非常に多くみられる病気で、超音波検査で副腎の大きさなどを確認することで診断がくだされます。
一般的な治療法は、手術で副腎を摘出をするか、ホルモンの放出を抑制する注射を定期的に打ちます。
手術はフェレットの年齢や、左右どちらの副腎に異常があるのかなどによってリスクが上がるため、内科的治療のみで病気の経過を見ることもあります。
症状
副腎疾患にはこのような症状がみられます。
- 脱毛
- 皮膚の痒み
- 外陰部や乳首の腫れ(メス)
- 頻尿や尿漏れ、尿が出ない(オス)
- 体臭がきつくなる
- 攻撃的になる
- 貧血
一番よくみられる症状は脱毛で、多くは尾の周囲から毛が抜け始めます。
性ホルモンが多く分泌される影響で、オスとメスで症状に違いが出るのも副腎疾患の特徴です。
メスでは外陰部が腫れたり乳首が目立ってくることがあり、オスの場合は前立腺疾患を併発することから排尿障害が起こります。
予防方法
予防には適した食事のバランス、適度な運動でストレスの少ない生活を心掛けることが必要です。
体全体の健康状態を良好に保ち、体内ホルモンの乱れを防ぐことで予防につながります。
副腎疾患は生涯にわたって治療が必要になることもある病気なので、早い段階で発見をして治療を行なうのがベストです。
フェレットが4~5歳以降のシニア期に入ったら、早期発見のためにも定期的に健康診断を受けましょう。
フィラリア症
犬猫でよく聞くフィラリア症は、フェレットでも同じように気を付けたい病気の1つです。
蚊が媒介する病気で、フィラリアに感染している動物の血を吸った蚊に刺されることで感染します。
感染すると3~4ヶ月ほどでフィラリアは幼虫から成虫へとフェレットの体内で成長し、やがて心臓に寄生することで心不全を引き起こします。
体の小さなフェレットにとって、たった1、2匹の寄生でも重篤になってしまう恐ろしい病気で、感染した場合の致死率は非常に高いです。
フィラリア症は、感染後に駆虫をしても死骸が血管に詰まる危険性もあることから、治療は困難を極めます。
たとえ駆虫できたとしても後遺症が残るケースも多いため、感染させないことがとても重要です。
症状
フィラリア症は呼吸器を中心とした以下の症状があらわれます。
- 咳をする
- 呼吸困難
- 腹水が溜まる
- 元気が無くなる
フィラリアに感染すると、呼吸の苦しさから元気や食欲が消失し、腹水が溜まることでお腹の張りが目立つようになります。
突然死をする場合もあるので、呼吸がいつもと違ったり、すぐに息切れしたりする場合は病気を疑ってすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
予防方法
蚊が活動する4月から、いなくなった後の12月頃までの間、毎月1回駆虫薬を投与することで予防をします。
薬の種類はいくつかあり、飲み薬や液体を首に垂らすタイプ、注射などが主流で、動物病院によって推奨している薬のタイプや扱っているメーカーが異なる場合が多いです。
たとえ蚊に刺されても、駆虫薬を投与していればフィラリアが成虫になる前に駆除をして体外に排出できます。
フィラリア症は命を落とす危険性が高い病気ですが、きちんと駆虫をしていれば感染予防が可能です。
フェレットの命を守るためにも駆虫薬の投与を忘れずに行ないましょう。
ジステンパー
犬ジステンパーウイルスに感染することで発症する、非常に致死率の高い病気です。
フェレットの場合は感染してからわずか10日前後で亡くなってしまうケースもあり、治療をしてもほぼ100%の確率で助かりません。
感染経路はジステンパーに感染している動物との接触や排泄物、人の衣服を介する場合もあります。
症状
ジステンパーは、以下の風邪のような症状が特徴的です。
- 発熱
- 鼻水やくしゃみ
- 目やにが出る
- 咳をする
- 食欲不振
- 元気が無くなる
- 顎周辺に発疹
- 唇・顎を中心に腫れて硬くなる
- 肉球が硬くなる
感染してすぐは発熱や鼻水など風邪のような症状が目立ち、症状が重くなると神経症状として眼振や斜頸があらわれます。
予防方法
ジステンパーはワクチンの予防接種がありますが、フェレット専用のジステンパーワクチンは日本では取り扱っておらず、犬用の混合ワクチンを接種して予防します。
生後1ヶ月の赤ちゃんフェレットは抗体を確立するために1ヶ月おきに3回ワクチンを接種し、その後は年1回の接種で予防が可能です。
ジステンパーは感染力が強く助かる見込みもほとんどないため、毎年の予防接種を必ず受けるようにしましょう。
耳ダニ
ミミヒゼンダニという虫に感染することで耳の汚れや強い痒みを引き起こす病気です。
耳ダニに感染している他の動物との接触で移り、耳に寄生をして耳垢や血を吸いながら増殖していきます。
肉眼では耳ダニを確認しにくく、感染直後は症状が出ないので、ある程度進行してから感染に気が付くことが多い病気です。
耳ダニは繁殖力がとても強く、ひどくなると耳垢が黒くべっとりとした状態になってしまいます。
悪化すると炎症が広がって中耳炎や内耳炎になったり、鼓膜が破れたりすることも。
症状に気が付いたら早めに駆虫薬を使って耳掃除を継続することで次第に良くなっていきます。
症状
耳ダニに感染していると強い痒みを伴うので、耳を擦ったり頭を振ったりして気にする仕草が目立ちます。
見た目では真っ黒な耳垢が付着し、耳から悪臭がすることも。
予防方法
定期的に耳掃除を行なって、耳の清潔を保つことで高い予防効果が期待できます。
自宅で掃除をする場合は、指で届く範囲の汚れを拭き取るだけで充分キレイになります。
耳の奥の汚れは綿棒を使うと傷つけてしまう恐れがあるので、動物病院でやってもらいましょう。
メスの場合は避妊手術も
フェレットのメスで避妊手術をしていない場合、発情が来ているのに交配が行われないと貧血を起こして死んでしまうことがあります。
フェレットのメスの発情は、交尾が為されるまで持続し続け、その間はエストロジェンというホルモンが出っ放しの状態です。
このホルモンが出続けてバランスが崩れる影響で、血小板や白血球が減少し、骨髄抑制や貧血を引き起こして命を落とすことに。
フェレットに交配をさせる予定がないならば、避妊手術をしてこのような病気から守ってあげる必要があります。
多くのペットショップでは、避妊済みのフェレットが販売されていますが、中には未避妊のフェレットが販売されているケースも稀ですがあります。
お迎えする際には手術が行われていることをペットショップにきちんと確認しましょう。
フェレットの治療費用
いざ病院へ連れて行こうとしたときに、フェレットの治療費用にどのくらいかかるのか疑問を抱いたことはありませんか?
精算時に慌てないためにもフェレットの治療費用の大体の相場について知っておきましょう。
診察内容 | 費用相場 |
---|---|
診察料 | 1,000円前後 (初診は2,000円前後) |
各種検査 (耳垢、皮膚など) | 1,000円~3,000円 |
血液検査 | 5,000円~ |
画像検査 (レントゲン、超音波) | 3,000円~ |
処置 (耳掃除、爪切りなど) | 約1,000円~ |
注射、点滴 | 約1,000円~3,000円 |
処方料 | 1,000円前後 |
飲み薬 | 100円~300円 (1日あたり) |
例えば、診察料・1項目の検査・処方料・飲み薬が診察内容だったとすると、合計で5,000円前後の費用になることが予想されます。
ただ、状態がひどい場合は検査の種類が増えたり、施される処置も多くなったりするので1回の治療費用が10,000円を超えることも。
同じ病気で診てもらっても、病気の重症度や初診かどうかなどの要因で診察内容は大きく変わります。
動物病院によって費用に差はありますが、病院へ連れて行く際の参考にしてみてください。
フェレットの飼育時に気を付けるポイント
フェレットは人懐こくてとても飼いやすい動物ですが、飼育する際は以下の3つのポイントに注意が必要です。
- 狭いところが大好き
- 好奇心旺盛でなんでも口に入れる
- 食事は炭水化物を少なめに
いずれもフェレットの習性や体内の構造に関することで、これらは気を付けておかないと病気や事故を招く恐れがあります。
では、一体どのようなことに注意すればよいのか1つずつ確認していきましょう。
狭い空間に入り込んでしまう
元々野生のフェレットは、軟らかくて細長い体を活かし、狭い穴に潜む獲物を捕食していました。
そのことからペットのフェレットも狭い空間が大好き。
家の中で自由に遊ばせているときに、布団や家具の隙間に入り込んでいることに気が付かずに飼い主が踏んでしまうという事故が発生しています。
フェレットは体が軟らかいので、私たちが想像もしていないような場所へも簡単に潜り込んでしまうのです。
可愛らしい習性ですが、ケージから出して遊ぶ際は目を離さないように気を付けましょう。
なんでもすぐ口に入れてしまう
とても好奇心旺盛な性格のフェレットは、落ちているものや気になったものはすぐに口に入れてかじってしまいます。
異物はお腹の中を傷つけたり詰まらせたりする危険性があり、取り出すために開腹手術を要することも。
ケージの外に出すときは、フェレットが口に入れる恐れのある物がない部屋で遊ばせましょう。
おもちゃも壊れにくい硬めのものにしてあげるとより安全ですね。
炭水化物は最小限に
私たち人間では大切なエネルギー源となる炭水化物は、実はフェレットにとっては必要のない栄養素です。
炭水化物を分解する酵素がそもそもフェレットの体には少ないので、必要以上に与えるとお腹を壊したり病気になったりするリスクが上がります。
市販のペレットには形状を保つために炭水化物が含まれていることが多いのですが、少量を摂取するのは問題ありません。
とはいえ炭水化物の含有量が少ないに越したことはないので、摂取量はなるべく最小限に抑えておきたいです。
食事は健康に直結する要素ですから、病気にさせないためにも特に気を遣っていきたいですね。
まとめ
- フェレットは食事や飼育環境に気を付けていれば長生きを目指せる
- バランスの良い食事と適度な運動、快適な飼育環境を心掛けることで免疫が保たれて病気になりにくくなる
- フェレットの習性や体のつくりを考慮して飼育することで、事故や病気を防ぐことにつながる
フェレットのなりやすい病気や予防方法について知識をつけておくことは、フェレットに健康でいてもらうためにとても大切です。
原因が解明されていない病気もいくつかありますが、毎日のお世話や適した食事のバランスが予防につながっていきます。
10歳を超えるご長寿フェレットも存在しますので、病気の予防を意識しながら飼育していきたいですね。
様々な小動物を飼ってきた私が、もっと気軽に小動物の飼い主同士がやり取り出来たり、落ち着くコミュニティだったり、悩んだ時に質問しあえる環境が欲しくてサービスを提供しています!
飼い主の皆さん自身も、もちろんペットもより快適で幸せに暮らすために、ぜひ一度ご覧ください!