デグーの病気の1つである「不正咬合」についてご紹介していきます。
デグーを飼っている人なら不正咬合という病気を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
口の中の病気である不正咬合は、悪化すると食事ができなくなるような恐ろしい病気です。
健康なデグーであっても不正咬合になる可能性は充分にあります。
体の小さなデグーにとって、病気は時に命に関わる危険があるので予防をしておくことが肝心です。
そこで今回は、デグーの不正咬合の原因から治療、予防法を分かりやすく解説していきます。
デグーの飼い主や、これからお迎えを考えている人はぜひ参考にしてくださいね。
デグーの不正咬合とは?どんな症状?
げっ歯目の仲間であるデグーは歯が一生涯伸び続けます。
どのように歯の長さを保っているのかというと、かじり木など硬いものをかじったり、牧草をすり潰したりして食べる際の摩擦で少しずつ歯が削れていくのです。
しかし、歯が何らかの原因で上手く削れていかないと、噛み合わせが悪くなってしまいます。
この嚙み合わせが悪くなった状態を不正咬合といい、以下の症状が代表的です。
- よだれがでている
- 食欲がない
- 糞の量が少ない、または小さい
- 目やに、涙が出る
- くしゃみをする
- 歯ぎしりを頻繁にしている
- 口を手で触って気にしている
- 口臭がキツイ
- 顔がピクピクと痙攣している
デグーが不正咬合になると、伸びすぎた歯が口内を傷つけて痛みを伴ったり、上手く食べられないことから栄養状態が悪くなってしまうのです。
進行すると症状は歯だけにとどまらず、伸びた歯が目を圧迫することで涙や目やにが増えたり、鼻腔への圧迫でくしゃみが現れ始めます。
さらに、顔の神経に影響を及ぼして、顔がピクピクと痙攣することもあるのです。
また、伸びすぎた歯が邪魔をして口を上手く閉じられなくなり、口呼吸になってしまうことがあります。
そうなるとデグーは空気を飲み込みやすくなり、胃にガスが溜まってお腹が張る「胃拡張」を併発してしまうのです。
胃拡張になるとお腹が張って苦しいですし、食欲はますます落ちてしまいます。
体の小さいデグーにとって不正咬合や胃拡張が原因で食事が満足に摂れない状態は、命の危険に直結することも。
不正咬合は一度かかると繰り返しやすいので、しっかりと予防をすることが重要な病気です。
デグーが不正咬合かどうかを見分けるには?
不正咬合を見分けるためには、普段からデグーとコミュニケーションをとって、健康時の状態をよく知っておくことが大切です。
自然界でデグーは捕食される側の動物なので、弱みを見せないよう基本的に痛みや病気は我慢をして隠します。
不正咬合が悪化する前に気が付いてあげたいのですが、歯の見た目から判断するのはなかなか難しいです。
デグーは前歯だけでなく奥歯も伸びますし、歯の根元部分から顎の骨に向かって伸びてしまう場合もあります。
そのため、歯の異変を目視で確認しにくく、気が付いた時にはある程度症状が進行していたというケースが多いです。
症状を見逃さないことがとても重要で、特に分かりやすいのはよだれと食欲の低下です。
伸びた歯が邪魔をして口が上手く閉じられないので、よだれが外へ出て口周りが汚れてしまうのです。
そして牧草やペレットを上手く噛めなくなることで食欲が低下して体重が落ちます。
いつもよりエサへの食いつきが悪くなったら要注意です。
食べる量が減ると必然的に糞も少なくなりますので、普段の排泄量を把握しておくと異変に気が付きやすくなります。
これらの症状に気が付いたら悪化する前に動物病院へ連れて行き、速やかに治療を受けましょう。
デグーの不正咬合の原因
デグーが不正咬合になってしまう原因は、食事やストレスが大きく影響しています。
- デグーの主食である牧草を充分に食べていない
- グミ状のような柔らかいおやつや、ドライフルーツなどをよく与えている
- ゲージをかじる癖がある
上記はデグーの不正咬合でよくある原因です。
伸び続ける歯が上手く削れていくには、牧草を食べる際の歯ですり潰す動きが必要です。
しかし、与えている牧草の量が少ないと伸びる歯への摩耗が追い付かず、結果的に嚙み合わせが悪くなり不正咬合に。
さらに、牧草の摂取量に加えておやつの与えすぎにも気を付ける必要があります。
特に歯に付着して残りやすいような柔らかいおやつの与えすぎは、虫歯を起こす原因の1つです。
痛みを感じて虫歯のある部分で咀嚼しなくなったり、食欲が落ちたりして、歯が削れにくい状況となり不正咬合へとつながります。
食事以外の原因として、ゲージを頻繁にかじっているデグーも不正咬合になりやすいです。
ゲージをかじることで歯の根元に大きな負担がかかり、噛み合わせが悪くなります。
デグーが退屈に感じているとゲージをかじるようになり癖づいてしまうパターンが多いです。
遺伝的に歯並びが悪いデグーも
前述でご紹介したデグーが不正咬合になる原因は後天的な理由でしたが、実は先天的な理由が原因の場合もあります。
その原因が、元から遺伝的にデグーの歯並びが悪いという状態です。
これは顎の骨格に歪みなどの異常が生じていることで歯並びに影響が出ます。
遺伝的な要素が不正咬合の原因となっている場合は完治が困難ですので、上手く付き合っていく必要があります。
デグーの不正咬合の治療方法、治し方
デグーが不正咬合になってしまったら、どのような治療を施すのでしょうか。基本的にはデグーの不正咬合が疑われる場合には動物病院で診察、治療を受けるようにしましょう。
いくつか治療方法があるので、デグーの不正咬合の進行具合に合わせた治療で症状の改善を目指します。
不正咬合の治療は基本的にはこのような流れです。
- 問診を基に口の中を直接診る
- レントゲン撮影をして口の中全体の状態を確認する
- 伸びた歯をカットする
- 口内に傷や潰瘍がある場合は薬を処方する
まずはデグーの歯全体の状態を確認し、必要であればレントゲン撮影を行います。
歯が口内を突き刺していたり、歯根部分が伸びていたりする場合は、レントゲン撮影をすることでどこまでどのくらい伸びているのかをはっきりさせることが可能です。
歯の状態を確認した後で問題となっている歯をカットしますが、伸び方や歯の場所によっては麻酔をかけて行うこともあります。
歯根部分が伸びていたり、歯がひどく傷んでいる場合は手術で抜歯をすることも。
歯のカット後は、口内が傷ついていれば抗生剤を投与し、食欲低下により栄養状態が悪ければ点滴や強制給餌をして体力の回復をはかります。
不正咬合は伸びた歯をカットすることで改善しますが、しっかり予防をしていないと何度も再発してしまう病気です。
そして遺伝的に歯並びが悪いデグーは不正咬合の完治が困難なため、定期的に伸びた歯をカットしてもらう必要があります。
歯のカットは飼い主自身で行うのは非常に危険なので、必ず動物病院で獣医師に任せましょう。
デグーの不正咬合は自然治癒する?
デグーの不正咬合の自然治癒は基本的に難しいです。
見た目で分からない程度の噛み合わせの異常でも、デグーにとっては牧草などを食べづらくなり不正咬合が進行していくはずです。
デグーの不正咬合は気が付いた時にはある程度まで進行していることが多く、自然に治るどころか悪化する一方だと思っておいてください。
様子をみるよりかは症状に気が付いた時点で動物病院に連れて行き、治療を受けましょう。
デグーへの投薬の方法
不正咬合の治療では、口内の傷を治すために抗生剤などの薬が処方されることがあります。
体の小さいデグーへの薬は液体や粉薬で処方されることが多いです。
薬と一緒に1mlサイズの小さいシリンジを一緒に渡してくれるので、それを用いて投薬を行います。
粉の場合だと一回量ごとに分包してくれますので、水で溶いてシリンジで吸っておきます。
最初から液体で処方されていれば、獣医師に指示された1回量をシリンジで吸引しましょう。
投薬の仕方は片手でデグーの体を支え、もう一方の手で薬を吸ったシリンジを持ちます。
その状態から、前歯と奥歯の間にある隙間からシリンジを入れて、ゆっくりと薬を流し込みます。
気管に入らないように、シリンジを舌の上に乗せて少しずつ流し込むとデグーも飲み込みやすいです。
暴れて抑えにくいときはデグーの体をタオルで包み込んで行うとやりやすいかもしれません。
小さな体のデグーに投薬するのは慣れていないと大変かと思いますが、動物病院でしっかりとレクチャーしてもらいましょう。
デグーの不正咬合の予防方法、対策
再発しやすいデグーの不正咬合は、治療を受けた後でも予防をすることがとても大切です。
不正咬合の原因となる不適切な食事とストレスには充分に注意して、予防のために以下のことを心掛けてください。
食事で歯の伸び過ぎを防止
デグーの不正咬合の予防は、とにかく牧草をたくさん食べてもらうことが1番と言っても過言ではありません。
牧草を食べる際のすり潰すような歯の動きが、適した歯の長さを保つのに必要不可欠なのです。
牧草は切らさないように、デグーが常に満足できる量を用意しておきましょう。
牧草の種類はチモシーが最もベーシックでバランスも良いのでおすすめです。
もしも牧草の食べが悪い場合は、他の種類を試して好みの牧草を探してあげます。
同じチモシーでも、産地や長さ、硬さなど形状も様々ですので、お気に入りを見つけてあげられるとしっかり食べてくれるはずです。
ペレットは牧草で足りない栄養素を補う役割があるため、カルシウムやミネラルに配慮されたバランスの良いものを選びましょう。
あくまでも主食は牧草なので、ペレットは一度に食べきれる量を与えるのがベストです。
また、虫歯の原因になり得る柔らかいおやつを与えるのはやめましょう。
おやつの代わりとして、市販されているデグー用のりんごの木をおすすめします。
かじって遊べるのでストレス発散にもなりますよ。
このような食事への配慮は不正咬合への大きな予防効果となるので、ぜひ取り入れてください。
遊ぶことでゲージをかじらないようにする
不正咬合の原因となるゲージかじりには歯が削れるような効果は全くなく、歯に大きな負担がかかるやめさせたい行為です。
退屈してストレスを感じているとゲージかじりの癖がつきはじめますので、遊べる道具を増やしたり、ゲージの外に出して刺激を与えたりしてみましょう。
なるべく毎日触れ合ってあげるようにしましょう!
デグーは賢い動物ですので、ゲージかじりをしているときにおやつで気をそらしたり、外に出したりすると「かじるといいことがある」と学習します。
ゲージかじりを助長してしまうので、まずは遊び場を増やすところから始めましょう。
ゲージ内のレイアウトを定期的に変えてみるのもデグーの気分転換になるのでおすすめですよ。
デグーが不正咬合になってしまったら
不正咬合が疑われる症状を発見したら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
残念ながらデグーの不正咬合は、飼い主自身でなんとかできる病気ではありません。
様子をみても症状が進行するだけですので、悪化する前になるべく早く治療を受けさせたいです。
そして、治療後は再発防止のために食事やストレスを見直して予防に努めましょう。
デグーは体調不良を隠そうとしますので、普段からコミュニケーションをよく取って、いざという時の異変に気が付けるようにしたいですね。
あなたのデグーが健康に長生きできるように、今回ご紹介した予防法を取り入れて、不正咬合には充分気を付けていきましょう。
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