小動物をペットに選ぶ人が増えてきた昨今、フクロモモンガの魅力にはまる人が続出しています。
小さな体にクリクリとした瞳がとってもチャーミングなフクロモモンガですが、一体どんな動物なのか、どうやって飼うのかを知らない人は多いです。
本記事ではフクロモモンガの性格や寿命などの特徴や飼い方のポイントをご紹介。
飼育に必要なものとそれにかかる値段にも触れているので、これからフクロモモンガのお迎えを考えている人は必見です。
フクロモモンガがどんな動物なのか知りたい、お迎えに向けて準備をしたい、という人はぜひ参考にしてくださいね。
フクロモモンガの特徴
フクロモモンガとは一体どのような特徴をもつ小動物なのか、特徴を紹介していきます。
生息地 | オーストラリア北部・南部・東部 ニューギニア島、タスマニア、ビスマルク諸島 温帯や熱帯の森林に生息 |
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大きさ | 約14cm~21cm |
食性 | 雑食性 |
活動時間 | 夜行性 |
性格 | 臆病で神経質 |
寿命 | 約8年~10年 |
温暖な地域に生息するフクロモモンガは、大人の手のひらと同じくらいの体の大きさ。
野生下では昆虫や樹液、果実などを食べて生活している雑食性です。
日が落ちてから活発に動く夜行性なので、お世話はフクロモモンガが目を覚ましている夜間になるべく行います。
気になる外見の特徴や性格、寿命など、フクロモモンガの魅力を深掘りしていきましょう。
外見の特徴
フクロモモンガといえばクリっとした大きな瞳がチャームポイント。
体は手のひらサイズの約14cm~21cmほどで、しっぽは体と同じくらいの大きさかそれ以上に長いです。
木の上で生活しているフクロモモンガの爪は、木登りしやすいようにかぎ爪になっています。
前脚から後ろ脚と後ろ脚から尾の付け根に飛膜があり、木から木へ飛び移る際に活躍します。
神経質だが懐きやすい性格
基本的な性格は神経質で臆病なので、慣れてくれるまでに時間がかかります。
とはいえゆっくり時間をかければ人によく懐き、飼い主の手や肩に乗って甘えてくるようになることも。
慣れるまでは最低限のコミュニケーションにとどめて、フクロモモンガが心を許してくれるのをじっくり待ちましょう。
威嚇する時は大きい鳴き声
小さな体ですが、意外にもはっきりとしたボリュームで鳴くことがあります。
「カチカチ」「ギコギコ」という鳴き声は、怒っているときや嫌がっていることをあらわす威嚇鳴きです。
飼い主に慣れていないうちは、威嚇鳴きをされることもしばしばあります。
寂しいときには「ワンワン」と大きな鳴き声で鳴くことも。
嬉しいときには「プクプク」「キュッキュッ」と鳴き、甘えるときには「シューシュー」など、フクロモモンガは鳴き声で感情を豊かに表現します。
フクロモモンガの寿命
フクロモモンガの平均的な寿命は約8年~10年です。
飼育下で15年まで生きたという例もあるので、しっかり愛情をもってお世話をすれば長生きを目指せます。
毎日コミュニケーションをとって、体調に異変がないかチェックする習慣をつけましょう。
フクロモモンガの体臭
フクロモモンガは体にいくつか臭腺があるため、ある程度の獣臭が発生します。
他の動物の獣臭とは少し違い、やや甘いような独特の臭いを持っています。
臭腺をこすりつけて縄張りの主張をしたり、仲間にマーキングをしたりするのです。
臭腺は成長と共に発達していくので、ベビーよりも大人のフクロモモンガのほうが体臭がキツめ。
特に発情期には体臭が濃くなるため、こまめな換気と掃除をしてニオイがこもらないように注意しましょう。
オスの方が臭いは強め
縄張りの主張が激しいオスのフクロモモンガのほうが体臭がキツい傾向にあります。
臭腺だけでなく尿のニオイもオスはメスに比べて強いです。
オスは特にあちこちに尿をしてマーキングを行うので、こまめな掃除はもちろんのこと、飼育アイテムは汚れやニオイが付着しにくい素材を選ぶことをおすすめします。
フクロモモンガは飛ぶわけではない
フクロモモンガといえば両手足を広げて飛ぶ姿が思い浮かびますが、実際には飛んでいるのではなく”滑空している”という表現が当てはまります。
体にある飛膜を広げて風に乗り、エサを探すために木から木へ飛び移っているのです。
飼育下でもケージの外で遊んでいる際に、滑空して飛び移る姿がみられる可能性があります。
モモンガには2種類存在する
日本でペットとしての飼育が認められているのは、「フクロモモンガ」と「アメリカモモンガ」の2種類。
実はこの2種類は同じモモンガでありながら、生物分類では異なる動物なのです。
本記事でご紹介しているフクロモモンガはカンガルーの仲間である「有袋類(ゆうたいるい)」であり、アメリカモモンガはリスの仲間を指す「げっ歯類」に分類されます。
同じモモンガでありながら違う生き物、というのはなんとも不思議に感じますが、その生態はどちらも大きく違います。
それぞれどのような特徴があるのか、有袋類とげっ歯類の違いをみていきましょう。
有袋類
有袋類は赤ちゃんを育てるための育児嚢(いくじのう)という袋をもつ動物のことを指します。
カンガルーやコアラが有袋類として有名ですが、フクロモモンガもまた袋の中で赤ちゃんを育てる動物なのです。
げっ歯類
リスやハムスターが分類されているげっ歯類は、物をかじるための歯と顎が発達している動物です。
アメリカモモンガには歯が生涯伸び続けるというげっ歯類ならではの特徴があります。
フクロモモンガのように頭部に縞模様がなく、リスやネズミに雰囲気が似ています。
ムササビとの違い
ムササビもモモンガと同様に滑空をする動物で見た目がよく似ていますが、飛膜がモモンガよりも大きいです。
加えてモモンガは顔の横に目がありますが、ムササビの目の位置は顔の正面。
飛膜の大きさと目の位置がムササビとモモンガを見分けるポイントです。
フクロモモンガの値段や購入できる場所
お迎えの際に気になるフクロモモンガの値段相場や購入場所をご紹介します。
生体の値段は初期費用を大きく占めるので、事前に把握して資金計画を立てておくことをおすすめします。
ペットは対面での販売が義務付けられているので、近くにお迎えできる場所があるかどうかも確認しておきましょう。
フクロモモンガの値段
フクロモモンガの値段は約15,000円~30,000円が相場です。
毛色が影響する希少性によっては50,000円~100,000円ほどの値段で販売されていることも。
購入先や年齢によって値段は前後するため、購入先は複数チェックすることをおすすめします。
フクロモモンガを購入出来る場所
フクロモモンガはペットショップまたはブリーダーからお迎えすることが可能です。
ペットショップの規模によっては取り扱っていない場合もあるため、近くのショップを確認してみてください。
ブリーダーはフクロモモンガについての知識が豊富なので、お世話に関する的確なアドバイスをもらえます。
フクロモモンガを飼育するために必要なもの
フクロモモンガをお迎えする前に、飼育に必要なものをすべて揃えておきましょう。
何が必要で値段はどのくらいなのか、以下を参考にしてみてください。
飼育に必要なもの | 値段相場 |
---|---|
ケージ | 約13,000円~25,000円 |
止まり木 | 約1,000円~2,000円 |
寝床 | 約1,500円~2,000円 |
床材 | 1,000円前後 |
エサ | 1,000円前後 |
食器 | 500円前後 |
給水器 | 1,000円前後 |
ペットシーツ | 約1,200円 |
フクロモモンガの飼育に必要なものの合計は、相場を参考にすると最低でも約20,000円という結果に。
値段が大きいケージの価格帯で合計金額に個人差が発生しますが、飼育アイテムの総額は約20,000円~30,000円で収まりそうです。
フクロモモンガの生体価格と合わせると、初期費用は約35,000~60,000円が一般的だといえます。
各飼育アイテムは種類が豊富なため、どのような点に気を付けて選ぶべきか、それぞれのポイントをおさえて購入しましょう。
ケージ
野生では木の上で生活しているフクロモモンガにぴったりなのは、ある程度高さがあるケージです。
ジャンプして体を動かせるように、50cm~100cmの高さがあるケージを選びましょう。
ワイヤータイプが主流ですが、中の様子が見やすいクリアタイプも人気。
ワイヤータイプは通気性が良いのでニオイがこもりにくく、ケージ越しにスキンシップをとりやすいです。
クリアタイプは汚れの付着が特に目立ちやすいので、こまめな掃除につながりますが値段が高いです。
使い勝手の良さを考慮して最適なケージを選んでみてください。
止まり木
野生では木から木へ飛び移って移動するフクロモモンガ。
ケージの中でも野生に近い動きができるように止まり木を数か所設置してください。
しっかりとつかまれる天然木の止まり木が望ましいです。
止まり木につかまることで爪の伸びすぎを防ぐ効果が期待できます。
寝床
昼間は巣穴で眠って過ごすフクロモモンガのために、飼育下ではケージに寝床を設置します。
寝床は体がすっぽりと隠れるほどの狭さで問題ありません。
木製と布製が多く出回っていますが、汚れても洗いやすい布製がおすすめです。
フクロモモンガの糞尿が木目に浸み込んでしまう木製は、ニオイの付着が避けられません。
加えてフクロモモンガは体臭が強めなので、ニオイ対策のためには洗いやすい布製が適してます。
専用ポーチがおすすめ
ケージに吊り下げて設置できるフクロモモンガ用のポーチが寝床におすすめです。
暗さも狭さもフクロモモンガにぴったりなので、リラックスして過ごせます。
体がすっぽりと入るサイズ感のポーチを選んであげてください。
夏は綿や麻などの涼しい素材、冬は暖かいフリース素材など季節で使い分けるとより快適に過ごせます。
床材
床材はケージの底に落ちる糞尿を吸収して、掃除をしやすくする効果があります。
また、巣作りとしてフクロモモンガが寝床に持ち込むこともあるようです。
吸水性とクッション性に優れてホコリが出にくい素材がフクロモモンガの床材に適しています。
紙製のペーパーチップや木製のウッドチップなどがありますが、新聞紙を細かくちぎったものでも代用できます。
ホコリが発生しにくくアレルギーの心配が少ないペーパーチップがおすすめですが、使い勝手の好みにバラつきがあるため、一通り試してみて使いやすい床材を見つけてみてください。
エサ
飼育下ではフクロモモンガ専用のドライフードを与えます。
総合栄養食なのでフクロモモンガに必要な栄養がバランスよく配合されています。
フクロモモンガは雑食性のため基本的に何でも食べれますが、特に昆虫食や果物のような甘いものが大好物です。
おやつに昆虫食のミルワームや小動物用のドライフルーツを与えると喜びます。
ただしおやつの与えすぎは肥満や偏食の原因となるため、与える量や頻度はほどほどにするよう心掛けてください。
食器
食器はフクロモモンガの体に合う小さめのサイズで、ひっくり返されにくい重さのある陶器が適しています。
フチに返しがついているとさらに中身がこぼれにくいです。
木の上で食事をする習性があるので、ケージの中の高い位置に食器を置いてあげましょう。
給水器
給水器はボトルを取り付けるタイプが汚れにくく、水の交換がしやすいです。
ただし、給水器に慣れていないとなかなか飲まないこともあるため、その場合は食器に水を入れてあげましょう。
ペットシーツ
ペットシーツは床材の下に敷いておくと掃除がしやすくなるおすすめのアイテムです。
床材で吸収しきれなかった糞尿を受け止めてくれるので、ケージの底が汚れるのを防ぎます。
ケージ内を清潔に保つためにもぜひペットシーツを活用しましょう。
フクロモモンガの飼い方のポイント
フクロモモンガのお世話は基本的にシンプルなので飼育のハードルは低め。
しかし、気を付けておきたいポイントがいくつかあります。
- 専用ポーチで少しずつ飼い主のニオイに慣らす
- エサの内容に注意する
- 快適な温度と湿度を保つ
- かかりやすい病気に気を付ける
上記のポイントをしっかり理解してお世話をしてあげましょう。
専用ポーチで徐々にニオイに慣らす
フクロモモンガは人によく懐く動物ですが、慣れるまでに時間がかかります。
懐いてもらうための近道となるのが、ポーチを使って飼い主のニオイを覚えさせることです。
寝床となるポーチはフクロモモンガが1日の大半を過ごすリラックスできる場所。
ポーチを使って「飼い主のニオイ=落ち着ける場所」と認識させるところから始めてみましょう。
手からエサを食べるようになったり、体を触らせてくれたりと少しずつ慣れてくれるはずです。
フクロモモンガの餌、食事について
野生では樹液や昆虫、果実や鳥のヒナなどさまざまなものを食べていますが、飼育下ではこれらをまんべんなく与えることは難しいので、フクロモモンガ専用のペレットを与えます。
総合栄養食であるペレットは、フクロモモンガに必要な栄養がすべて凝縮されており、エサやりの準備に手間がかかりません。
野菜や果物、昆虫食はおやつやご褒美感覚でときどき与える程度にとどめてください。
与えすぎると偏食になって主食のペレットを食べなくなったり、肥満になったりする恐れがあります。
基本はペレットを主食に与え、コミュニケーションの一環として量や頻度に気を付けながらおやつを与えましょう。
適切な飼育温度、湿度
フクロモモンガに適した温度は約25℃~28℃、湿度は50%~60%ほどだといわれています。
野生では温暖な地域で暮らしているので、室温は季節問わず25℃ほどを保つのが好ましいです。
湿度は高すぎず低すぎない50%ほどを保ちます。
冬の寒さは特に苦手なので、寝床を温かい素材にしたりペットヒーターを活用したりして対策をしてください。
夏は熱中症を防ぐため、室温が30℃を超えないように空調で涼しい環境にしてあげましょう。
フクロモモンガがなりやすい病気
フクロモモンガにはなりやすい病気がいくつか存在します。
日常的に予防できる病気もあるので、なりやすい病気を把握して異変に気が付けるようにしておきましょう。
以下はフクロモモンガに好発する病気です。
- 骨に異常が起こる「クル病・骨粗しょう症(代謝性骨疾患)」
- 下痢や便秘など消化器疾患
- 歯周病や虫歯の口腔疾患
- 体の中にペニスが戻らなくなる「ペニス脱」
- 自分で自分を傷つける「自咬症」「自傷行為」
- 目が白く濁る「白内障」
かかりやすい病気のほとんどが、ストレスや不適切な食事の内容が原因で発症します。
快適に過ごせる飼育環境、バランスのとれた食事、適度な運動とコミュニケーションが健康維持には欠かせません。
日ごろから排泄物や体に異変がないかをチェックし、病気には十分注意しましょう。
まとめ
フクロモモンガはお世話の手間がかかりにくい、誰でも飼いやすい小動物です。
警戒心が強い動物ですが、ゆっくりと時間をかけることで飼い主によく懐きます。
小動物の中でも比較的安価な値段でお迎えできる部分も魅力的です。
お迎えする際は正しい飼い方を把握し、必要なものをしっかりと準備してあげてくださいね。
様々な小動物を飼ってきた私が、もっと気軽に小動物の飼い主同士がやり取り出来たり、落ち着くコミュニティだったり、悩んだ時に質問しあえる環境が欲しくてサービスを提供しています!
飼い主の皆さん自身も、もちろんペットもより快適で幸せに暮らすために、ぜひ一度ご覧ください!