デグーは丸い愛らしいフォルムと人懐っこさで人気が上昇中の小動物です。
最近では、ペットショップの小動物コーナーでよく見かけるようになりました。
しかしながらデグーの知名度はまだまだ低く、飼育に関する情報が少ないのが現状です。
特にデグーの病気に関する情報は少ないため、デグーの体調が悪い時に慌ててしまう飼い主さんが多いと思います。
今回は、デグーがかかりやすい病気を症状とともに解説します。病気についての知識を得ることで、病気の早期発見につながります。デグーの飼い主さんは参考にしてくださいね。
デグーの特徴
まず、デグーの身体的な特徴や行動の特徴を紹介します。
デグーは齧歯目ヤマアラシ亜目の動物です。ヤマアラシ亜目にはカピパラやモルモットなどがいます。
大きさに違いはありますが、のんびりとした見た目が似ています。
デグーの大きさ・体重
大人デグーの大きさは
- 大きさ:25~31㎝
- 体重:170~300g
デグーは、ゴールデンハムスターとモルモットの間くらいの大きさだとイメージしてください。
デグーは懐くのか
デグーは人によく懐きます。
それはデグーが群れで生活をするため、人間を自分の群れの一員だと思って生活するからです。デグーは社会性が高い動物です。
デグーは高い知能をもっており、一説によると人間の3歳児程度の知能があるそうです。
社会性があり知能が高い動物の場合、1匹で生活することの寂しさを感じたり、単調な生活から退屈さを感じたりすることがあります。これらのことがデグーのストレスになり、病気になってしまったり、問題行為がでてしまったりします。
デグーが寂しくないように多頭飼いを検討される方がいるかもしれません。
デグーは多頭飼いができる動物ですが、注意が必要です。ちょっとしたことが原因で喧嘩が起こることがあるからです。喧嘩で怪我をすることがあるため、多頭飼いは注意が必要になります。
デグーの飼育の仕方
デグーの飼育方法についても見ていきましょう。
デグーの食生活について
デグーは完全草食動物です。野生のデグーは厳しい自然環境の中、粗食で生活しています。
ペットのデグーは基本的にデグー用ペレット、牧草、水を与えれば大丈夫です。
おやつなどの嗜好品は不正咬合や肥満、糖尿病などの病気の原因になることがあるので、与える量に気をつけてください。
雑食動物であるハムスターのフードをあげてはいけません。必ずデグー専用のペレットを与えましょう。
デグーは齧歯目のため、奥歯が伸び続ける動物です。歯は牧草を食べることで、自然に摩耗されています。不正咬合などの歯の病気を防ぐために、牧草をしっかり食べさせてください。
デグーの行動について
デグーの丸っこい体からは想像しにくいのですが、実は筋肉質な体型をしています。
筋力を活かして、高いところへ高いところへと移動します。
デグーが活発に動けるように、広いケージを用意しましょう。上下運動ができるように高さのあるケージを選びます。
ケージの中には運動用の回し車や、高いところで休憩ができるステップなどを入れてあげます。
かなり活発に動くことで、体に傷がつくことがあります。結膜炎などの細菌感染、尾切れなどの怪我に注意が必要です。
デグーの病気のサイン
デグーは自分の体調不良を言葉で伝えることができません。
飼い主さんが普段の様子をよく見て、デグーの異変や病気に気づくことが必要です。
小動物はむしろ病気であることを隠そうとします。
以下の様な症状がでたら、病気のサインかもしれません。
- 排泄の異常(下痢をしている、糞やおしっこの量がいつもと違うなど)
- 食欲がない(食べる量が少ない)
- 前歯が黄色くない
- 水を飲んでいない(水を飲む量が少ない)
- 体のどこからか出血している(床材に血が付き、気づくこともあります)
- 動かずじっとしている(体を丸めて動かない)
- 毛がボサボサにている(毛にツヤがない)
異変を見つけたらすぐに動物病院へ
病気のサインを見つけたら、すぐに動物病院へ行きましょう。
動物病院にデグーを連れていく場合は、以下のことを確認しておきます。
メモにしておくと、伝え忘れがないため診察がスムーズにいきます。
- いつから気になる症状がでたのか
- 普段食べているエサは何か
- 軟便や下痢の場合は、糞を持っていく
軟便や下痢の場合は、糞を検査することが多いです。ティッシュなどに包んで持っていきましょう。
またじっとしているなど、行動面に異常がある場合は、ケージ内でのデグーの様子を動画に撮っておくことをおススメします。診察の参考になります。
時には明確な異常ではなく、なんとなく普段と様子が違うことがあります。
判断に迷うところですが、そのような時も病院へ行くことが大切です。
普段デグーと接している飼い主さんが違和感を持つ時は、病気のサインであることが多いからです。
動物病院へ行く際は、事前に病院にデグーを診てもらえるか確認をとりましょう。
病院によっては、デグーは診察対象外の可能性があります。
デグーを病院に連れていく時は、通気性の良いライトキャリーに入れていきます。動物病院によっては、待合室が犬や猫と同室の場合があります。デグーが怖がらないように、キャリーを目隠しの布やカバーで覆うといいですよ。
デグーがかかりやすい主な病気とその症状
デグーがかかりやすい主な病気とその症状を一覧表にまとめました。おうちのデグーに何らかの症状がでていないかチェックしてみてください。
デグーの主な病気 | 症状 |
---|---|
真菌症 | ・脱毛 ・毛が簡単に抜けてしまう |
熱中症・低体温症 | ・ぐったりしている ・元気がない ・体を丸めて動かない |
不正咬合 | ・食欲不振 ・よだれ ・体重減少 |
腸閉塞 | ・糞が出ない ・糞の量が少ない ・食欲不振 |
糖尿病 | ・尿の量の増加 ・水を飲む量の増加 ・体重の減少または増加 ・白内障(黒目が白濁する) |
皮膚病 | ・脱毛(主に手足の一部分) |
尾抜け、尾切れ | ・しっぽ自体が切れてしまう ・しっぽの周りの皮膚がむけてしまう |
ビタミンC欠乏症 | ・体重が増えにくい ・動きが鈍い ・足を引きずって歩く |
結膜炎 | ・目やに ・目が開きにくい ・目の周りの毛が濡れている |
肥満 | ・体重増加 ・動きにくそうにしている ・潰瘍(足裏) |
ペニス脱出症 | ・ペニスが体外に出ている ・尿が出ない ・尿が出にくい |
自傷行為 | ・脱毛(手足) ・出血(手足) |
真菌症
真菌症は別名皮膚糸状菌症といいます。カビによる感染症です。
体の一部分が脱毛してしまったり、毛を軽く引っ張っただけで、ごっそりと毛が抜け落ちてしまったりします。
内服薬で完治する病気です。人間にも感染してしまうことがある、やっかいな病気です。飼い主さんにも赤いぶつぶつや痒みがでてしまったら、皮膚科を受診してください。
真菌症に感染した場合は、ケージや飼育用品の消毒が必要です。再発してしまう病気なので、日頃から飼育環境を清潔にしてください。
熱中症・低体温症
熱中症や低体温症もデグーのかかりやすい病気です。
熱中症
比較的暑さに強いと言われているデグーですが、気温によっては熱中症を起こします。
室温が28度を超すような日は、冷房で室温を管理してください。
デグーは汗をかけないため、扇風機の風では気化熱を利用した体温調節ができません。冷房で室温を冷やします。
暑い時期は水を多めに用意し、水分補給が充分にできるようにします。
低体温症
デグーの快適な温度は20~25度と言われています。デグーの年齢や体力によっても、快適な温度は異なりますが、あまりに室温が下がってしまうと低体温症になる可能性があります。特に室温が10度以下になる場合は、ペットヒーターなどでケージ内を保温しましょう。
デグーの動きが悪くなってしまった場合は、デグーをゆっくり温めながら病院を受診してください。
熱中症、低体温症ともに、症状がでてしまうと命に関わる危険性があります。日頃から室温の調節に気をつけて、予防に努めましょう。特に体力がない赤ちゃんデグー、高齢デグーがかかりやすいので飼育環境に配慮することが大切です。
不正咬合
不正咬合は歯の病気です。齧歯目の動物は一生歯が伸び続けます。通常は牧草をすりつぶすように食べることで、自然と歯が摩耗されていきます。
食生活や飼育環境が原因で歯が摩耗されなくなると、そのまま伸び続けます。伸び続けた歯は口内を傷つけるため、デグーの食欲不振につながります。
不正咬合を予防するには牧草をしっかり食べさせましょう。牧草をもぐもぐとしっかりすりつぶして食べることが、不正咬合の予防につながります。
伸びすぎた歯は、病院で定期的に切ってもらいます。内服薬が必要なこともあります。
不正咬合は、食生活や飼育環境に原因があることが多い病気です。病院で飼育方法についても相談してください。
腸閉塞
デグーは一日にかなりの量の糞をします。糞は濃茶から黒で小さなラグビーボールのような形をしています。
その糞がでなかったり、量が少なかったりするときは腸閉塞の可能性があります。
腸閉塞の原因は
- 水分不足
- 異物を食べる(自分の毛・ペットシーツ・布などが体内でつまる)
と考えられます。
糞に異常が見られる場合は、糞も持って受診することをおススメします。
腸閉塞の場合は内服薬を中心とした治療を行います。
普段から牧草中心の食生活にすることが予防になります。ペットシーツや寝袋の布をかじってしまうデグーの場合は、腸閉塞を防ぐためにそれらを取り除いてください。
糖尿病
糖尿病については、デグーはかかりやすいと言われてきましたが、必ずしもそうではないという意見もあるようです。デグーの糖尿病については諸説ありますのでご了承ください。
- 水を飲む
- 尿が多い
- 体重の増加
- 白内障
といった症状があった場合は、糖尿病の疑いがあります。病院を受診して、原因を確かめることが必要です。
糖尿病は有効な治療法がないため、予防が大切になります。特に食生活に気をつけましょう。野生のデグーは厳しい自然環境の中、完全草食で生活しています。デグー専用のペレットと牧草中心の食生活にすることが大切です。
食生活を整えることは、糖尿病だけでなく、肥満など他の病気の予防にもつながります。
皮膚病
デグーは舌で器用にグルーミングをします。時にはグルーミングが過剰になってしまい、手足の一部分が脱毛してしまうことがあります。
グルーミング過剰の原因はストレスです。
デグーは元々群れで生活をする社会性の高い小動物です。1匹で飼育されているデグーの場合、仲間がいないさみしさやストレスでグルーミングを過剰にしてしまうことがあるようです。
ストレスが原因の脱毛の場合は、飼育環境を見直しが必要です。デグーと飼い主さんが触れ合う時間を増やしたり、ケージのレイアウトを変えたりして、デグーが寂しさや退屈さを感じさせないようにするといいですね。
脱毛は真菌症が原因の場合があります。真菌症は人間にもうつります。自己判断せず、病院を受診して、原因を確認しましょう。
尾抜け、尾切れ
デグーは長いしっぽに特徴があります。しっぽがケージの扉などに挟まって切れてしまうことがあります。またデグーをケージの外に出している時に、飼い主さんがうっかりしっぽを踏んでしまい皮膚がむけてしまうことがあるようです。
デグーのしっぽの一部分がなくなっても、命に別状はありません。傷口が感染しないように、病院を受診しましょう。
ビタミンC欠乏症
デグーはモルモットと同様に体内でビタミンCを生成することができません。
ビタミンC配合のデグー用ペレットを与えてください。
結膜炎
結膜炎は人間がよくかかる目の病気ですが、デグーもかかることがあります
結膜炎は飼育環境などが原因で、目に傷が入り、そこから細菌感染がおこります。
元気な時でも目やにがでることはありますが、何日も続く時や量が増えた時は結膜炎の可能性があるかもしれません。
結膜炎は点眼薬で治療します。
飼育ケージ内に不衛生な場所があると、そこから細菌感染をすることがあります。ケージ内の清掃をこまめにしてください。
肥満
デグーは人間と同様に体格に個体差があります。体重が何g以上だと肥満という明確な基準はありません。
大人デグーになって急に体重が増加している時は、肥満の傾向があるかもしれません。
体重が重すぎる場合は、足裏に負担がかかり、潰瘍ができることがあります。
嗜好性の高いおやつは避け、デグー用ペレットと牧草中心の食生活にしましょう。
食生活の見直しは肥満だけでなく、他の病気の予防にも有効です。
野生のデグーは餌を探すために、長距離を移動します。ペットのデグーの場合は、ケージ内に回し車やステップを置いて、運動ができるようなレイアウトにするといいですね。
ペニス脱出症
オスのデグーのペニスが正常な位置に戻らないことがあります。
ペニスが出たままになっていると、デグーが気にして噛んでしまうことがあります。また赤く腫れたり、炎症を起こしたりします。そのままにしてしまうと命に関わることがありますので、早急に受診することが大切です。
病院ではペニスを正しい位置に戻し、内服薬や塗り薬で治療します。症状によっては、手術が必要なこともあります。
自傷行為
デグーは社会性が高く、賢い動物です。そういった動物は、人間と同じようなストレスを抱えがちです。何らかのストレスがあると、手足を過剰になめたり、手足を傷つくまで噛んだりと問題行動につながっていきます。
デグーのストレスの原因として
- 寂しさ(単独飼育の場合)
- 退屈さ
などが考えられます。
自傷行為が見られる場合は、普段よりたくさんデグーに話しかけたり、スキンシップをとったりしてください。ケージ内におもちゃを入れて、生活に刺激を与えることも必要です。
デグーの気持ちが満たされてくると、自然と問題行動は収まります。
手足を出血するまで噛む場合は、傷口から細菌に感染することがあります。出血を伴う傷の場合は、病院で診てもらうといいでしょう。
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